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令和6年版厚生労働白書 全体版 (48 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
出典情報 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》
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コラム

女性がいきいきと働ける社会に向けて
(独立行政法人労働者健康安全機構関東労災病院)

こころの健康を取り巻く環境とその現状

女性特有の疾患に対して治療を行うだけで

充分にご本人の話を聞いて、時間をかけて診

なく、院内外との連携を図りながら、女性の

療を行う。②婦人科に限らず、他科の症状に

総合的な健康管理・支援を行っている関東労

ついての相談にも応じる。③多数の科や医療

災病院の「働く女性専門外来」を紹介する。

機関で診察・治療を受けても病態がわからな
い場合、一緒に情報を整理し、病状を把握す

働く女性専門外来の設立

る支援を行う。④心療内科や精神科での診察

関東労災病院では、月経痛など女性特有の

が必要となった場合、受診状態をフォロー

症状や、職場でのストレスにより発症する

アップし、診察が軌道に乗るまで見届ける。

様々な心身の不調に対し、総合的に診療を行

⑤職場の産業医や県などの保健関連施設との

うため、2001(平成 13)年に「働く女性

連携や情報提供を行う。

専門外来」が開設された。開設当初から担当

こうした取組みによって、働く女性を総合

している星野寛美医師は「当時はちょうど、

的にサポートしている。受診年齢も 10 代か

女性専用車両が導入された頃」と振り返る。

ら 80 代まで幅広い。

「それまで医療分野では、『女性は男性と同

星野医師によれば、開設当初は、例えば、

じ』とされ、男性の研究データに基づき、女

心療内科の受診が必要な場合、紹介状を渡し

性の医療が行われていました。男女の違いを

て診察を終えていたが、心療内科の受診に抵

明確にして医療を行う「性差医療」という概

抗を感じる方も多く、受診や適切な治療に結

念が日本で紹介され始めたことから、女性の

びつかないことがあった。そのため、現在で

心と身体をトータルに診る総合診療を目指し

は、紹介状を渡した後も、専門外来の受診を

て開設されました」。当初は『女性外来とは

継続していただき、治療の経過を見届けるよ

こういうもの』といったものがなく、試行錯

うにしている。こうした試行錯誤で診療方法

誤の連続だったそうだ。

を練り上げ、よりよい女性外来の確立を目指
してきた。
なお、「働く女性」という名称ではあるが、
主婦など、就労していない女性も受診でき
る。
不調の背後にあるものをみつけ、寄り添う
診察の際に、特に重要と感じていることに
ついて、星野医師は、「症状があるけれど原
因がはっきりしない方もいるので、受診者の
気持ちに寄り添いながら、症状の背景にある
問題を見極め、一緒に不調を治すという姿
勢」が大切だという。
体調不良で受診しても、器質的疾患でな
く、原因が精神的なものである場合もある。

働く女性専門外来の特徴と取組み
「働く女性専門外来」の特徴として、次の
ような点があげられる。
①「働く」という視点にも注目しながら、

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令和 6 年版

厚生労働白書

「診察室での振る舞いだけでなく、普段の生
活状況等も確認しながら、話をよく聴いて、
どこに原因があるか総合的に見極めることが
大切だと考えています」と語る。