令和6年版厚生労働白書 全体版 (81 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html |
出典情報 | 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》 |
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【図1-2-3】
第1部
こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に
近年の依存症患者数の推移
第
図表 1-2-3
近年の依存症患者数の推移
章
1
こころの健康を取り巻く環境とその現状
資料:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部作成
20
68
依存症の特徴は、周囲との対立が増える、生活リズムが崩れる、体調を崩す、お金を使
いすぎるなど、日常生活のなかで何かしらの問題が起きているにもかかわらず、やめられ
ない状態に陥っているということである。
自分の意志ではやめられない状態に陥ってしまう鍵は、脳にある。アルコールや薬物を
摂取すると、脳内ではドーパミンという快楽物質が分泌される。この快楽物質が脳内に放
出されると、中枢神経が興奮し、快感・よろこびにつながる。この感覚を、脳が報酬(ご
ほうび)と認識することにより、報酬を求める回路が脳内にできあがる。ギャンブル等で
味わうスリルや興奮といった行動でも、同じように脳の中で報酬を求める回路が働いてい
るのではないかといわれている。
脳内に報酬を求める回路ができあがり、アルコールや薬物を体に取り込む行動が習慣化
されると、快楽物質が強制的に分泌されることが繰り返される。そうすると、次第によろ
こびを感じる中枢神経の機能が低下し、快感・よろこびが感じにくくなるといわれてい
る。同時に嫌なことを忘れるためや不快な気分状態を解消するためにアルコールや薬物を
使ったりするようにもなる。これらの変化が起こって、特に不快な気分状態を解消するた
め、アルコールや薬物の作用を求めるようになり、ますますその量が増えていく結果、悪
循環に陥り、焦燥感や不安、物足りなさばかりが増していく。
このような状態に陥ると、もはや自分の意志でコントロールすることは非常に困難にな
る。依存症は、意志の弱さや性格の問題ではなく、もちろん最初から依存しようと思って
なるものでもなく、脳の仕業であるといえる。条件さえそろえば誰でも依存症になる可能
性があり、特別な人だけがなるわけではないということを、正しく理解しておく必要があ
る。
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厚生労働白書
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