令和6年版厚生労働白書 全体版 (158 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html |
出典情報 | 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》 |
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章
3
こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に
お互いの経験を共有する
自分自身に価値があると思うようになれ
たら
るグループセラピー「ミーティング」が、回
スタッフは薬物依存症からの回復者が大半
復プログラムの中心だ。ミーティングの場で
で、依存症から先に回復を始めた人が、後か
は、その日ごとに異なったテーマについて発
ら来た人を手助けする「セルフヘルプ」の精
言する。テーマはその場で伝えられ、発言に
神を大切にしている。当事者だからこそ、い
ついては意見しないのがルールとなってい
つもと様子が違う人にはすぐ気づく。その時
る。
は、「調子はどう?」といった距離感で接す
薬物依存症から解放されたい仲間同士によ
取材当日、午後のミーティングを見学させ
ていただいた。
この日のテーマは、
「感情を表現する」。最
るようにしている。
「私自身も薬物依存症です」と話すのは、
京都ダルク施設長の出原和宏さん。
初に、ミーティングハンドブックに書かれた
「薬物依存症の当事者にとって失敗はつき
ミーティングの目的や目標を参加者が順に読
ものですが、重要なことは、本当に薬物を止
み上げ、司会者役の参加者の発言を皮切り
めたいと思っているかどうかという本人の気
に、準備ができた人から一人、また一人と続
持ちです」と話す。「薬を止めるためにはど
けて発言していく。複雑な家庭環境や生い立
んなことでもやろうという強い気持ちが大
ち、当時の配偶者との関係性、感情表現が苦
切」と明言し、回復プログラムを通して「今
手だったゆえに生きづらさを抱えた背景、そ
日 1 日薬物を使わない」ことを継続していく
してなぜその先に薬物があったのかなど、
ことが大切だという。「自分自身に価値があ
様々な発言を通じてお互いの経験を共有す
ると思うようになれたら、人は変わることが
る。
でき、立ち直ることができる。京都ダルク
1 時間のミーティングの場には、参加者達
が、当時の自分自身の内心を見つめ直すひた
むきな姿勢が凝縮されていた。
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前半で「仲間」と書いたが、京都ダルクの
令和 6 年版
厚生労働白書
は、やり直せる場所でありたいと思っていま
す」。出原施設長はそう話す。