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令和6年版厚生労働白書 全体版 (25 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
出典情報 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》
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第1部

こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に

産後うつは、女性に限ったものではなく、父親である男性にも起こりうる。2020(令

こころの健康を取り巻く環境とその現状

に「メンタルヘルスの不調のリスクあり」と判定される割合は 11.0%で、母親の 10.8%

1



和 2)年に国立成育医療研究センターが公表した研究結果*5 によると、父親が産後 1 年間



(父親の産後うつの割合は、母親とほぼ同程度であった)

とほぼ同程度であった。また、夫婦が同時期に「メンタルヘルスの不調のリスクあり」と
判定された世帯は 3.4%に達した。これは、年間約 3 万組の夫婦が、1 歳未満のこどもを
抱えながら夫婦ともにメンタルヘルスの不調に苦しんでいる可能性を示唆している*6。


周産期喪失

(流産や死産の辛さは、1 年経って以降でも続く場合もある)
自然流産は全妊娠の約 10~15%に起こり、女性の年齢が高くなるほど多い。妊娠満 12
週以後の死児の出産数は、経年的には減少傾向で推移しているものの、厚生労働省「人口
動態統計」によると、2022(令和 4)年は 1 万 5,179 胎にのぼった。また、妊娠出産が高
齢化していることに伴い、流産を繰り返す不育症の人も増加していると考えられる。
流産または死産を経験した後の、時期ごとの辛さの程度を尋ねた調査では、「流産もし
くは死産がわかった直後」は、
「非常に辛かった」の割合が 8 割近くに達しており、この
割合は時間の経過とともに徐々に減少し、
「流産もしくは死産から 1 年経って以降~現在」
では約 1 割となっている(図表 1-1-2)。
何らかの精神的な支援を必要としながらも、流産や死産による経験の辛さを相談すると
いう発想に至らないことも多い。2020(令和 2)年度に厚生労働省が行った「流産や死
産等を経験した女性に対する心理社会的支援に関する調査研究」によると、流産や死産が
分かった直後に感じた辛さについて、誰かに相談した人は 61.1%で、相談していなかっ
た人は 30.3%であった。相談しなかった理由は、「相談しても変化が期待できない(仕方
がない)と思った」
(41.5%)、「流産や死産について、人に話すことに抵抗があった」
(39.3%)といった心理的な面が多い。一方、
「身近に相談する先がなかった」
(34.4%)

「誰に相談できるのかわからなかった」
(29.5%)といった相談先へのアクセスの課題も挙
げられていることから、本調査研究の結果等を踏まえ、こども家庭庁のウェブサイトにお
いて、相談窓口*7 を開設し、周知を行っている。

* 5 「Parental psychological distress in the postnatal period in Japan: a population-based analysis of a national crosssectional survey」(Scientific Reports 2020 10(1). doi:10.1038/s41598-020-70727-2)。厚生労働省が実施している国民生
活基礎調査の 2016 年のデータから、生後 1 歳未満の子のいるふたり親家庭 3,514 世帯を抽出して実施。
* 6 同研究によれば、夫婦が同時期に精神的な不調となるリスク要因として、父親の長時間労働(週 55 時間以上)、母親の睡眠不足(6 時間
未満)といったことが示唆されている。
* 7 こども家庭庁ウェブサイト「流産・死産等を経験された方へ」
(https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/ryuuzan/)


令和 6 年版

厚生労働白書

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