よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


令和6年版厚生労働白書 全体版 (359 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
出典情報 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

第2部

第4節

現下の政策課題への対応

地域包括ケアシステムの構築と安心で質の高い介護保険制度

1 介護保険制度の現状と目指す姿

2000(平成 12)年 4 月に社会全体で高齢者介護を支える仕組みとして創設された介護

保険制度は 2024(令和 6)年で 25 年目を迎えた。
介護保険制度は着実に社会に定着してきており、介護サービスの利用者は 2000 年 4 月
の 149 万人から 2023(令和 5)年 4 月には 524 万人と約 3.5 倍になっている。あわせて
介護費用も増大しており、2000 年度の約 3.6 兆円から、2022(令和 4)年度には約 11.4
兆円となり、高齢化が更に進行する 2040(令和 22)年には約 25.8 兆円*14 になると推計
されている。また介護費用の増大に伴い、制度創設時に全国平均 3,000 円程度であった介
護保険料は、第 8 期介護保険事業計画期間(2021(令和 3)年度から 2023 年度)におい
ては、全国平均 6,014 円になっており、2040 年には約 9,200 円になると見込まれている。
また、いわゆる団塊ジュニア世代の全員が 65 歳以上となる 2040 年頃を見通すと、85
歳以上人口が急増し、認知機能が低下した高齢者や要介護高齢者が更に増加する一方、生
産年齢人口が急減することが見込まれている。
さらに、都市部と地方では高齢化の進み方が大きく異なるなど、これまで以上にそれぞ
れの地域の特性や実情に応じた対応が必要となる中で、このような社会構造の変化や高齢

護保険部会)等を踏まえ、第 211 回通常国会において「全世代対応型の持続可能な社会
センターの体制整備、介護サービス事業所等の生産性向上に向けた取組みの強化等につい
て 2024 年度から順次施行している。
これらを踏まえ、2024 年度からの第 9 期介護保険事業(支援)計画の基本指針におい
ては、以下のような事項を盛り込んでいる。
①各地域の中長期的な介護ニーズ等を踏まえた介護サービス基盤の計画的な整備
②地域包括ケアシステムの深化・推進に向けた取組(多様な主体による介護予防・日常生
活支援総合事業の充実の推進、ヤングケアラーを含めた家族介護者の支援、高齢者虐待
防止対策の推進、住まいと生活の一体的支援、医療・介護の情報基盤の一体的な整備、
保険者機能の一層の強化等)
③地域包括ケアシステムを支える介護人材確保及び介護現場の生産性向上の推進

国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現

保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」が成立し、地域包括支援

6



こうした中で、
「介護保険制度の見直しに関する意見」
(2022 年 12 月社会保障審議会介



者のニーズに応えるために、
「地域包括ケアシステム*15」の深化・推進を目指している。

2 地域包括ケアシステムの構築

(1)介護予防・健康づくりの推進

介護予防は、高齢者が要介護状態等になることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは

* 14 「2040 年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」(2018(平成 30)年 5 月)の経済ベースラインケース、計画ベースに
おける推計。
* 15 「地域包括ケアシステム」とは、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことがで
きるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制のことをいい、地域の特性に応じて作
り上げていくことが必要となる。

令和 6 年版

厚生労働白書

343