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令和6年版厚生労働白書 全体版 (322 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
出典情報 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》
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図表 5-2-1

医療分野研究開発推進計画のポイント
医療分野研究開発推進計画のポイント

2020 年 3 月 27 日健康・医療戦略推進本部決定

1.位置づけ
○政府が講ずべき医療分野の研究開発並びにその環境の整備及び成果の普及に関する施策の集中的かつ計画的な推進を図るもの。健康・医療戦略推進本部が、健康・医療戦略に即して策定。
○第 2 期計画の期間は、2020~2024 年度の 5 年間。

2.基本的な方針
○基礎から実用化までの一貫した研究開発:AMED による支援を中核とした産学官連携による基礎から実用化まで一貫した研究開発の推進と成果の実用化。
○モダリティ等を軸とした統合プロジェクト推進:モダリティ等を軸に統合プロジェクトを再編し、疾患研究は統合プロジェクトの中で特定の疾患毎に柔軟にマネジメント。予防/診断/治療/予後・QOLにも着目。
○最先端の研究開発を支える環境の整備:臨床研究拠点病院等の研究基盤、イノベーション・エコシステム、データ利活用基盤、人材育成、成果実用化のための審査体制の整備等の環境整備を推進。

3.医療分野の研究開発の一体的推進

インハウス研究開発

○他の資金配分機関、インハウス研究機関、民間企業とも連携しつつ、AMED による支援を中核とした研究開発を推進。
○AMED 及びインハウス研究機関の医療分野の研究開発について、健康・医療戦略推進本部で一元的に予算要求配分調整。

6 つの統合プロジェクト(PJ)
○プログラムディレクター(PD)の下で、各省の事業を連携させ、基礎から
実用化まで一体的に推進。




5

医薬品

医療現場のニーズに応える医薬品の実用化を推進するため、
創薬標的の探索から臨床研究に至るまで、モダリティの特徴
や性質を考慮した研究開発を行う。

医療機器・
ヘルスケア

AI・IoT 技術や計測技術、ロボティクス技術等を融合的に活
用し、診断・治療の高度化、予防・QOL 向上等に資する医
療機器・ヘルスケアに関する研究開発を行う。

再生・細胞医療・
遺伝子治療

再生・細胞医療・遺伝子治療の実用化に向け、基礎研究や非
臨床・臨床研究、応用研究、必要な基盤構築を行いつつ、分
野融合的な研究開発を推進する。

ゲノム・
データ基盤

ゲノム医療、個別化医療の実現を目指し、ゲノム・データ基
盤構築、全ゲノム解析等実行計画の実施、及びこれらの利活
用による、ライフステージを俯瞰した疾患の発症・重症化予
防、診断、治療等に資する研究開発を推進する。

○今後重点的に取り組む研究開発テーマ、AMED 等
との連携や分担のあり方等について、令和 2 年度
中に検討し、取りまとめる。

疾患研究

○多様な疾患への対応や感染症等への機動的対応のため、統合プロジェクトを横
断する形で疾患ごとのコーディネーターによる柔軟なマネジメントを実施。
○基礎的な研究から実用化まで戦略的・体系的かつ一貫した研究開発が推進され
るよう、プロジェクト間連携を常時十分に確保。

【我が国において社会課題とな主なる疾患分野での研究開発】

がん

がんの本態解明や、がんゲノム情報等の臨床データに基づいた
研究開発、個別化治療に資する診断薬・治療薬や免疫療法、遺伝
子治療等の新たな治療法実用化まで一貫した研究開発を行う。

生活習慣病

糖尿病、循環器病や腎疾患、免疫アレルギー疾患等の生活習
慣病の病態解明や、発症・重症化予防、診断・治療法、予後改善、
QOL 向上等に資する研究開発を行う。

精神・神経疾患

慢性疼痛の機序解明や精神・神経疾患の診断・治療のための
標的分子探索、脳神経の動作原理等解明を進め、客観的診断
法・評価法の確立や発症予防に資する研究開発を行う。

老年医学・認知症

薬剤治験対応コホート構築、
ゲノム情報等集積により認知症の病態
解明、
バイオマーカー開発を進め、
非薬物療法確立、
予防・進行抑制
の基盤を整備し、
また、
老化制御メカニズムの解明研究等を行う。

疾患基礎研究

医療分野の研究開発への応用を目指し、脳機能、免疫、老化
等の生命現象の機能解明や、様々な疾患を対象にした疾患メ
カニズムの解明等のための基礎的な研究開発を行う。

難病

患者の実態把握から実用化を目指した研究まで切れ目なく支
援。病因・病態解明や画期的診断・治療・予防法の開発に資す
るゲノム・臨床データ等の集積、共有化、再生・細胞医療、遺
伝子治療、核酸医薬等による治療法実用化まで一貫した研究開
発を行う。研究成果を診断基準・診療ガイドライン等にも活用。

シーズ開発・
研究基盤

新規モダリティの創出に向けた画期的なシーズの創出・育成等
の基礎的研究や国際共同研究を推進する。また、橋渡し研究支
援拠点や臨床研究中核病院において、シーズの発掘・移転や質
の高い臨床研究・治験の実施のための体制や仕組みを整備する。

成育

周産期・小児期から生殖期に至る心身の健康や疾患に関する
予防・診断、早期介入、治療方法や、女性ホルモン関連疾患、
疾患性差・至適薬物療法等の性差にかかわる研究開発を行う。

感染症

新型コロナウイルス感染症等の基礎研究や診断・治療薬・ワク
チン等の研究開発、BSL4施設等の感染症研究拠点への支援、ア
ウトブレークに備えた研究開発基盤やデータ利活用を推進する。

ムーンショット型研究開発

○他の資金配分機
関等と AMED・
インハウス研究
機関の間での情
報共有・連携を
十分に確保でき
る仕組みを構築。

他の資金配分
機関
JSPS
JST
NEDO



○健康・医療分野においても、実現すれば大きなインパクトが期待される社会課題に対し、CSTIの目標とも十分に連携しつつ、野心的な目標に基づくムーンショット型の研究開発を関係府省が連携して推進。

AMED の果たすべき役割

○研究開発・データマネジメント、基金等による産学連携や実用化の支援。
○研究不正防止の取組や国際戦略の推進。

研究開発の環境整備

○研究基盤整備や先端的研究開発推進人材の育成、研究公正性の確保。
○法令遵守・ELSI対応、薬事規制の適正運用・レギュラトリーサイエンス。

医療関連イノベーションの推進

3 次世代医療基盤法

匿名加工された医療情報の安全・適正な利活用を通じて、健康・医療に関する先端的研

究開発や新産業創出を促進するため、
「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療
情報に関する法律(次世代医療基盤法)」(平成 29 年法律第 28 号。現在の法律名は「医療
分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報に関する法律」。)
が 2018(平成 30)年 5 月に施行された。2024(令和 6)年 2 月現在、三つの認定事業者
において約 350 万人分の医療情報を収集して、40 件の利活用実績につなげている。また、
2023(令和 5)年 5 月には、「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関
する法律の一部を改正する法律」が公布、2024 年 4 月に施行され、健康・医療分野の研
究開発の更なる促進を図るため、仮名加工医療情報*5 の取扱いについての規律が定められ
たほか、匿名加工医療情報を NDB*6 等のデータと連結して利用することができる状態で
提供するための仕組みの創設等が行われた。

4 研究者等が守るべき倫理指針について

医学研究の分野では、研究を適切に実施する上で、個人情報保護を含む研究対象者保護

の観点から研究者等が守るべき倫理指針として、
「人を対象とする医学系研究に関する倫
理指針(医学系指針)
」、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(ゲノム指針)」、
* 5 他の情報と照合しない限り、特定の個人を識別することができないよう医療情報を加工して得られる個人に関する情報。
* 6 「高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)」(昭和 57 年法律第 80 号)に基づき、国民の特定健診や特定保健指導情報、レ
セプト情報を管理するデータベース。

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令和 6 年版

厚生労働白書