令和6年版厚生労働白書 全体版 (22 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html |
出典情報 | 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》 |
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章
1
第
1 章 こころの健康を取り巻く環境とその現状
第 1 節では、生まれてから老いに至るまでのライフステージ全般におけるストレス要因
こころの健康を取り巻く環境とその現状
を概観する。ライフステージごとのライフイベントや日常生活のなかで経験しうる出来事
とこころの健康の関係について整理し、また、現代社会の特徴的な側面であるデジタル化
の進展、これらに伴う孤独・孤立の深刻化などについても、こころの健康の観点から取り
上げる。
第 2 節では、代表的な精神疾患の現状を、また、第 3 節では、こころの健康が損なわれ
た影響が社会のなかに現れる姿を整理し、第 4 節では、こころの健康に対する人々の意識
について、アンケート調査の結果から分析していく。
第1節
こころの健康を取り巻く社会環境とその変化
1 ライフステージにおけるストレス
(ライフイベントや些細な日常の出来事も、時にこころの不調の要因となりうる)
一般に、家族との死別など、大きなライフイベントは大きなストレスとなり、こころの
不調の要因となると考えられているが、些細な日常の出来事でも、それらが重なったり続
いたりすると、同様のメカニズムで体調に影響を及ぼすと考えられている。また、一見す
るとよいことのように思えるライフイベント*1 も、受け止める人によりストレスの性質が
異なり、その影響も個々人により異なることがある。
また、同じライフステージにあっても、好ましくない環境や状況に置かれてしまう人ほ
どこころの不調をきたしやすいといわれており、そのようなリスクはライフステージの全
般にわたって存在している。
MEMO
ストレスとは何か
ストレスとは、外部からの刺激など(スト
レッサー)によって、心身に生じる反応(ス
アメリカの生物学者が生理学に応用し、カ
トレス反応)のことをいう。ストレッサーと
ナ ダ の 医 学 者 の ハ ン ス・ セ リ エ(Hans
ストレス反応を合わせてストレスと呼ぶこと
Selye)がさらに研究を進めて「ストレス学
もある。
説」を唱えたのが、今の「ストレス」の始ま
もともとは物理学の言葉で、物体の外側か
りといわれている。
らかけられた圧力によって歪みが生じた状態
ストレッサーには、暑さや寒さや有害物質
をいう。ストレスを風船に例えると、風船で
などの物理的・化学的なもの、病気や飢え、
指を押さえる力をストレッサーといい、スト
睡眠不足などの生理的なもの、職場や家庭に
レッサーにより風船が歪んだ状態をストレス
おける不安・緊張・恐怖・怒りなどの心理
*1
6
反応という。
令和 6 年版
米国の心理学者の Holmes らによるライフイベントのストレス度を点数化した「社会的再適応評価尺度」では、「結婚」を 50 点とした
場合に「配偶者の死」が 100 点である一方で、たとえば「退職」が 45 点、「妊娠」が 40 点などとなっている。
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