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令和6年版厚生労働白書 全体版 (159 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
出典情報 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》
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第1部

こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に

地域社会と関わっていく中で

をかけられるようになったという。

薬物依存症者は、地域の理解を得ることが

「地域の行事などに私達の方から参加して

容易でない場合が多い。京都ダルクも、現在

いくことは、京都ダルクのメンバーを知って

の場所に施設を開設するまでに多くの苦労が

いただくいい機会だと考えています。もっと

あったという。そういった経験を経て、現在

私達のことを知ってもらえたら、そう思いま

では、地域のお祭りなどにも参加し、積極的

す」。

た交流の場で偏見を感じる発言を受けるよう

る。本気で取り組み続ける強い信念が、出原

なことはなく、お祭りの後に「ダルクさんの

施設長の言葉に溢れていた。

3



薬物依存から回復し、地域社会に根を付け


に地域社会との関わりを持っている。そうし

おかげで成功に終わった」といった温かい声

こころの不調を抱える人の意思や選択を尊重していくためには、その人の意思表示や選
択・決定の過程を支える支援も重要である。特に、精神障害のある人に対する個別支援の
場面においては、ニーズが不明確な人や複雑・複合的な課題を抱える人も少なくないと考
えられ、成年後見制度の利用は、そのような場面において、精神障害のある人と市町村が
ニーズを整理し合い、的確な支援の実現につなげることにも資することが期待される。
成年後見制度は、精神障害などの理由で、ひとりで決めることに不安がある人を法的に
保護し、当事者の意思を尊重した支援(意思決定支援)を行う仕組みである。利用を考え
る当事者やその家族等は、市区町村の窓口や、地域包括支援センター、社会福祉協議会な
どの地域の相談窓口で、成年後見制度を利用するための手続や必要な書類、成年後見人に
なってくれる人について、あらかじめ相談することができる。
また、成年後見制度における診断書の作成においては、当事者の家庭的・社会的状況等

こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に

(個別支援の場面では、当事者の意思決定を支援する成年後見制度の利用も考えられる)

を医師に的確に伝えた上で医師が医学的判断を表現することができるよう、
「本人情報
*3
が導入されている。このシートは、社会福祉士や精神保健福祉士等のソーシャ
シート」

ルワーカーや、市町村の相談支援専門員など身近なところで当事者を支える人により作成
することが想定されており、地域における支援体制の整備を進めるなかで、支援に携わる
関係者が成年後見制度についても理解を深めていくことが望まれる。

第2節

地域や職場におけるこころの健康づくり

1 早期支援と地域医療体制の整備

(1)市町村等の相談支援機能の強化

(法改正により、市町村等における精神障害のある人等の支援体制の整備を図る)
2022(令和 4)年 6 月にとりまとめられた「地域で安心して暮らせる精神保健医療福
祉体制の実現に向けた検討会」報告書において、市町村では、精神保健に関する相談につ
*3

裁判所(https://www.courts.go.jp)では、成年後見制度における本人情報シートの作成の手引を作成・公表している。

令和 6 年版

厚生労働白書

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