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令和6年版厚生労働白書 全体版 (170 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
出典情報 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》
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関連する要因

地域組織の種類数(参加なし、1 種類、2 種

連する市町村の要因を分析した結果、地域の

女に分けて検証した。

うつ症状の割合が多い~少ない市町村と関

類、3 種類、4 種類、5 種類以上)別に、男

ボランティア・スポーツ・趣味の会などへの

その結果、うつ症状の発症率は、参加する

参加者が多い自治体では、うつ症状が少ない

組織の種類が多い人ほど少なく、5 種類以上

ことが分かった(図 2)。

参加している人では、参加していない人に比
べ、24〜26%発症率が低くなった*2。



同様に、本人が参加しているか否かにかか

3



わらず、暮らしているまちの高齢者がスポー
ツやボランティアの会などへ参加している割

こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に

合が高いまちに暮らしている人ほど、うつ発
症が少ないことが示されている*3。
この研究結果は、社会参加しやすいまちづ
くりを進めて、社会参加している高齢者を多
くすることが、うつ症状の発症予防につなが
【図 2】高齢者の社会参加者割合とうつ割合

る可能性を示唆している。

社会的支援や社会参加との関係

さらに、社会的支援や社会参加がうつ症状

を予防しているのか、逆にうつ症状ではない
から社会的支援や社会参加をしているのか、
時間的にどちらが先かを調べるため、縦断
(追跡)研究がなされた。この調査では、
JAGES 2013 年調査と 2016 年調査の 2 時
点の調査の両方に回答した 24 市町の高齢者
の う ち、2013 年 に う つ 症 状 が な か っ た

ロジスティック回復分析、説明変数:地域組織の参加数、目的変数:GDS2016(5 点以
上 / 未満)、調整変数:性別、年齢、教育歴、既婚状況、同居家族、等価所得、就業状況、
飲酒、喫煙、治療中疾患の有無、老研式活動能力指票、GDS(2013)

(GDS が 5 点未満)39,655 人を分析対象と

(資料)国立研究開発法人国立長寿医療研究

した。

センターホームページ

2013 年にはうつ症状がなかったのに、
2016 年にうつ症状(GDS 5 点以上)を新

https://www.ncgg.go.jp/ri/labo/07.
html

を一部改変。

たに示した確率を、年数回以上参加している
*2
*3

宮澤拓人ほか:高齢者が参加する地域組織の種類・頻度・数とうつ発症の関連ーJAGES2013 − 2016 縦断研究 . 総合リハビ
リテーション 49(8):789 − 798,2021
Miwa Yamaguchi, et. al. Community Social Capital and Depressive Symptoms Among Older People in Japan:
A Multilevel Longitudinal Study. J Epidemiol. 2018. doi:10.2188/jea.JE20180078

(2)職場におけるメンタルヘルス対策と両立支援の推進

(職場におけるメンタルヘルス対策を、経営戦略の視点から浸透させることも重要である)
前章では、2023(令和 5)年度からの第 14 次労働災害防止計画(14 次防)において、
働く人のこころの健康を守る健康確保対策が、労働災害を減少させるために重点的に取り
組む事項に掲げられていることについて述べたが、労働者の安全衛生対策は、経営戦略の
観点からもその重要性が増してきている。
いわゆる「健康経営」とは、従業員の健康保持・増進の取組みが、将来的に収益性等を
高める投資であるとの考えのもと、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践する考

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令和 6 年版

厚生労働白書