よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


令和6年版厚生労働白書 全体版 (156 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
出典情報 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。



3 章 こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に

第 1 章と第 2 章では、現代社会を生きる私たちのこころの健康を取り巻く多様なストレ
ス要因や精神疾患の実態、そしてこころの健康に関する取組みの現状を概観した。
こころの健康は、ライフステージを問わず、すべての人に関わりのあるテーマであり、
また、こころの不調は、いつでも、誰にでも起こりうる。しかしながら、こころの不調に
ついては、身体の病気と比較して、周囲への相談や通院をためらいがちになるといった傾



3

向があり、こころの不調を身近に感じる割合には世代間の差もみられた。
本章では、あらゆる人が自らの心身の状態と上手に付き合いながら、こころの健康と向

こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に

き合い、健やかに暮らすことのできる社会づくりに必要な取組みについて考えてみたい。
第 1 節では、こころの不調を抱える人に関する取組みにおいて重要となる「当事者の意
思の尊重と参加の機会の確保」について述べる。第 2 節では、地域や職場におけるこころ
の健康づくりについて、具体的取組みの方向性を整理し、第 3 節では、社会全体での意識
の変容に向けた普及啓発の取組みの必要性について示す。最後に第 4 節では、こころの健
康確保に向けて一人ひとりができる取組みについて紹介する。

第1節

当事者の意思の尊重と参加

こころの不調は、ライフステージの全般にわたり、誰にでも起こりうることであり、前
章でみたように、地域や学校、職域等において、こころの不調を抱える人に関する様々な
取組みが進められている。こうしたなかで、
「精神障害にも対応した地域包括ケアシステ
ム」は、
「精神障害の有無や程度にかかわらず、誰もが地域の一員として安心して自分ら
しい暮らしをすることができるよう、医療、障害福祉・介護、住まい、社会参加(就労)、
*1
仕組みの構築を目指している点で、ライ
地域の助け合い、教育が包括的に確保された」

フステージや分野ごとの取組みを横断する考え方や、社会全体を捉えた取組みに求められ
る視点を提供しうると考えられる。
たとえば、同システムは、地域に暮らす一人ひとりを「支える側」と「支えられる側」
ではなく、生きがいや役割を持ち、相互に助け合う一員として位置づけていることは先述
のとおりだが、こうした考え方は、精神障害のある人への就労支援、地域における精神医
療提供体制の整備、そして精神科医療機関に長期在院している人への支援など、こころの
不調を抱える人に関する様々な取組みにも重要な示唆を与えうるといえるだろう。
ここでは、そうした示唆のなかから、特に当事者の意思の尊重と参加、そして共生社会
における当事者の役割について取り上げる。
(当事者に安心感やロールモデルを与えるピアサポートの活用を進める必要がある)
「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」における重層的な連携による支援体制
については、こころの不調を抱える一人ひとりの困りごとや関心事、自己実現への想いや
潜在的ニーズに寄り添い、本人の意思が尊重されるよう情報提供等やマネジメントを行
い、適切な支援を可能とする体制を構築していくことが求められている。
* 1 「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会」報告書(2021(令和 3)年 3 月 18 日)。

140

令和 6 年版

厚生労働白書