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令和6年版厚生労働白書 全体版 (23 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
出典情報 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》
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第1部

こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に

が「ストレス」というものの多くは、この心

場合には、不適応を起こして心身にさまざま

理的・社会的なものである。

な影響が現れる。

1



は適応できるが、うまく制御ができなかった



的・社会的なものなどがある。普段、私たち

しようとする防御反応が働く。同じストレッ

(参考)厚生労働省「生活習慣病予防のため

サーでも受け止める人によって「よいストレ

の健康情報サイト」、厚生労働省「働く人の

ス」になるか「悪いストレス」になるかが大

メンタルヘルス・ポータルサイト「こころの

きく異なる。ストレッサーを制御できた場合

耳」」

こころの健康を取り巻く環境とその現状

ストレスが生じると、体内ではそれを解消

(1)幼年期・少年期・青年期

(幼年期には、養育者との安定した関係が情緒の形成に不可欠である)
出生から幼年期(0~4 歳)にかけては、父母等の養育者に対して遠慮のない甘えを通
じて、信頼感や安心感を獲得していく時期にあたる。乳幼児にとって、養育者との安定し
た関係性が情緒の形成に不可欠であるが、それが不十分な場合には、満たされないストレ
スが、腹痛や嘔吐など、様々な症状や行動として現れるといわれる*2。養育者の置かれた
状況に応じ、乳幼児と養育者の安定した関係性を支え、乳幼児の安心や経験が保障される
環境づくりを支える仕組みを、地域や社会において整えていくことも重要である。

(思春期は仲間集団の役割が大きく、その中での人間関係がこころの健康にも影響を及ぼ
す)
少年期(5~14 歳)は、社会参加への準備の意義がある時期であり、多くの時間を学校
で過ごすことから、入学、進学、卒業、受験など、学校や教育に関するライフイベントが
多く存在する。そうしたなかで、友人関係のトラブルやいじめなど、学校という「場」を
めぐる様々な問題に直面する可能性もある。また、10 歳代から 20 歳代にかけては、精神
疾患にかかりやすい時期としても知られている*3。
青年期(15~24 歳)は、身体的に成熟し、社会的にもこどもから大人へ移行する時期
にあたり、ライフイベントも学校や教育に関するものから、就職や転職、結婚、出産・子
育てなど、仕事や家庭に関するものが次第に増加していく。
また、少年期から青年期にかけては、周囲の影響を受けながら一人の大人として自我を
確立する思春期と呼ばれる時期を経験するが、この時期における仲間集団の役割は大き
く、仲間関係のトラブルは思春期の若者のこころに大きな影響を及ぼす。これまでの研究
によれば、思春期の若者の多くは、こころの不調に対する自身や周囲の知識不足などによ
り、精神的ストレスについて他者に援助を求めにくいとされている*4。

*2
*3
*4

乳幼児のストレスについては、1999(平成 11)年度厚生科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業)分担研究報告書「乳幼児の情
緒形成不全の早期発見方法の研究」を参考に記述した。
厚生労働省「生活習慣病予防のための健康情報サイト」掲載の「精神疾患の早期発見・治療の重要性」参照。
小塩靖崇他「学校・地域におけるメンタルヘルス教育のあり方」
(予防精神医学 vol.4(1)2019 年)

令和 6 年版

厚生労働白書

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