よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


令和6年版厚生労働白書 全体版 (19 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
出典情報 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

しかしながら、こころの健康をめぐる現状には課題も多い。近年、精神疾患の外来患者
数は増加傾向にあり、自殺者数も年間 2 万人を上回り続けている。私たちの社会では、若
者、働き盛り、お年寄りなど、ライフステージ(年齢に伴い変化する生活段階)を問わ
ず、こころの健康を損ない、本来得られるはずの質の高い生活を失っている人が数多く存
在しているのが実情である。
また、こころの健康と社会とのつながりには、相互性がある。たとえば、コミュニティ
からの孤立はこころの健康に影響を及ぼしうるし、こころの健康を損ねている人は周囲と
の関わりを避けがちになる。このことから、私たち一人ひとりは同じ社会に暮らす隣人の
こころの健康に対して、決して無関係ではないともいえよう。
とりわけ、デジタル化、パンデミックによる環境変化、これらに伴う孤独・孤立の深刻
化などを経験する現代社会では、相手が顔見知りであろうと、見ず知らずの他人であろう
と、私たちの無関心や偏見がその人のこころを傷つけうる。反対に、私たちの気づきや寛
容さがその人のこころを、ときに命をも、守るかもしれない。
このように、こころの健康は、すべての人に関係があり、私たちの社会においても大切
なテーマである一方、身近な課題であるが故に、まっすぐに向き合うことが難しいテーマ
であったのかもしれない。
そこで、今回の厚生労働白書第 1 部では、
「こころの健康と向き合い、健やかに暮らす
ことのできる社会に」と題し、厚生労働白書としては初めて、こころの健康について論じ
ることにした。どのライフステージにいる読者にも読みやすいように、身近なライフイベ
ントや日常生活のなかで経験しうる出来事などを具体的に取り上げながら、こころの健康
に与える影響や、精神疾患の実態、こころの健康と向き合う社会や地域の取組みなどを説
明している。
第 1 章「こころの健康を取り巻く環境とその現状」では、こころの不調の要因となるス
トレスについて論じ、ライフイベントに関連する出来事や、デジタル化、これらに伴う孤
独・孤立の深刻化など現代社会の特徴的な事象を取り上げる。また、精神疾患の実態や社
会への影響についても説明する。
第 2 章「こころの健康に関する取組みの現状」では、地域や学校、職場などにおける、
こころの不調を予防する取組みなどについて紹介する。
第 3 章「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」では、あらゆる
人が自らの心身の状態と上手に付き合いながら、こころの健康と向き合い、健やかに暮らす
ことのできる社会づくりに必要な取組みについて考える。こころの不調を抱える人に関する
取組みにおける当事者の意思の尊重と参加の重要性について考察し、地域や職場における
こころの健康づくり、こころの不調について語り合える環境づくり、そしてこころの健康確
保に向けた一人ひとりを支える取組みなどについて、今後の取組みの方向性を展望する。
また、本文の内容に関連させながら、企業などの具体的な取組み事例やキーワード解
説、最新の研究に関する取組みの紹介など、様々なトピックをコラム形式で掲載してい
る。理解を深めていただくための参考としていただきたい。
令和 6 年版厚生労働白書が、自らの、そして同じ社会に暮らす隣人のこころの健康と向
き合うための一助となれば幸いである。

令和 6 年版

厚生労働白書

3