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令和6年版厚生労働白書 全体版 (82 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
出典情報 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》
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1

2 早期発見の重要性

(未治療の期間が短ければ短いほど予後がよいといわれている)

こころの健康を取り巻く環境とその現状

一般的に精神疾患を発病してから治療開始までの期間は決して短くない。たとえば統合
失調症については、発病から治療開始までの期間が平均で約 1 年であるといわれている。
この未治療の期間のことを DUP(Duration of Untreated Psychosis:精神病未治療期
間)と呼ぶ。
DUP が短ければ短いほど予後がよいといわれており、逆にこの DUP が長ければ長い
ほど、症状や障害が重症化・慢性化する可能性が増える。また、統合失調症などの病気を
発症してから最初の数年の状態は、その後の長期的な経過に大きな影響を与える。そのた
め、発病後の数年間に適切な治療を継続的に受けることができ、状態を良好に維持するこ
とができれば、その後の病気の経過も良好である可能性が高まる。
このことから、DUP を短くし、病初期に適切な治療を継続的に受けられる社会的環境
を整えることが早期発見・治療の実践において不可欠といえる。実際に、すでに精神疾患
の早期発見・治療に関するサービスを精神保健のサービスの重要な一部として実施してい
るオーストラリアやイギリスでは、DUP が短縮化され病気の一部の症状が軽症化したこ
と、また、入院患者が減少し、地域での生活を続けながら治療をする患者が増えたこと、
そして入院患者の減少で医療コストが大幅に減少したことなどの成果が報告されてい
る*40。

コラム

高次脳機能障害について

ケガや病気により、脳に損傷を負うと、記
憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行

・同じことを繰り返し質問する。
【注意障害】

動障害などの認知障害等を呈することがあ

・ぼんやりしていて、ミスが多い。

る。これが高次脳機能障害である。高次脳機

・ふたつのことを同時に行うと混乱する。

能障害は外見からは分かりにくく、本人も自

・作業を長く続けられない。

覚することが難しいため「見えない障害」と
も言われており、本人の日常生活や社会生活
に大きな制約が生じる。

【遂行機能障害】
・自分で計画を立てて、ものごとを実行す
ることができない。
・人 に指示してもらわないと何もできな

高次脳機能障害の症状
ケガや病気により、脳に損傷を負うと、次
のような症状がでることがある。

い。
・約束の時間に間に合わない。
【社会的行動障害】
・興奮する、暴力を振るう。

【記憶障害】
・物の置き場所を忘れる。

・思いどおりにならないと、大声を出す。
・自己中心的になる。

・新しいできごとを覚えられない。

* 40 DUP の関連記載については、厚生労働省「生活習慣病予防のための健康情報サイト」の「精神疾患の早期発見・治療の重要性」を
参照した。

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厚生労働白書