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令和6年版厚生労働白書 全体版 (150 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
出典情報 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》
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コラム




2

精神保健福祉法の歩み

はじめに

行政は、精神医学の進歩等に伴い、「入院医

今日の精神保健福祉法は、明治期以降、

療中心の治療体制から地域におけるケアを中

様々な変遷を経てきた。戦後を中心としてそ

心とする体制へ」という大きな流れを踏まえ

の歩みをみてみよう。

て展開されてきたが、特に入院患者をはじめ

こころの健康に関する取組みの現状

1

精神衛生法の制定

第 2 次世界大戦前は精神病者看護法と精神

医療の確保という観点から見直しを行うべき
との機運が生じた。
このため、昭和 62 年に次のような法改正

病院法があったものが、戦後、精神衛生法に
統一された。昭和 25 年に公布された精神衛

が行われた。

生法の主な内容は次のとおりである。

・国民の精神的健康の保持増進を図る観点か

・精神病院の設置を都道府県に義務づけたこ

ら、法律の名称を精神保健法としたこと

と、また、都道府県知事は指定病院を指定

・精神障害者本人の同意に基づく任意入院制
度が設けられたこと

するとしたこと
・一 般人からの診察及び保護の申請、警察

・入院時等における書面による権利等の告知
制度が設けられたこと

官、検察官、矯正保護施設の長の通報制度
を設けたこと
・保護義務者の制度を設けたこと
・自傷他害のおそれのある精神障害者の「措

2

精神保健法の平成 5 年改正

平成 5 年 3 月には、「国連障害者の 10 年」

を経て、内閣総理大臣を本部長とする障害者

負担することとしたこと

対策推進本部(平成 8 年に障害者施策推進本

昭和 29 年の改正

昭和 29 年、覚せい剤の慢性中毒者で精神

る法改正が行われた。

3

5

置入院」の制度を設け、その費用は公費で

障害者でないものを、精神衛生法の対象とす

ライシャワー事件と昭和 40 年改正

昭和 39 年、ライシャワー事件(駐日アメ

リカ大使ライシャワーが統合失調症の少年に

部と改称)において、今後の新たな取組みを
定めた「障害者対策に関する新長期計画」が
決定された。
こうした動きを踏まえ、精神障害者の社会
復帰の一層の促進を図るとともに、精神障害
者の人権に配慮した適正な医療及び保護を実
施する観点から、精神保健法の見直しが行わ
れた。
その主な内容は次のとおりである。

刺されて負傷した事件)が大きな社会問題と

・新たに「医療施設若しくは社会復帰施設の

なり、その影響もあり、昭和 40 年に法改正

設置者又は地域生活支援事業を行う者は、

が行われた。その主な内容は、次のとおりで

その施設を運営し、又は事業を行うに当

ある。

たっては、精神障害者等の社会復帰の促進

・保健所を地域における精神保健行政の第一

を図るため、地域に即した創意と工夫を行

線機関として位置づけ、精神衛生相談員を

い、及び地域住民の理解と協力を得るよう

配置できることとし、在宅精神障害者の訪

に努めなければならない」とする規定が設

問指導、相談事業を強化したこと

けられたこと

・保健所に対する技術指導援助などを行う都

・
「国、地方公共団体、医療施設又は社会復

道府県の精神保健に関する技術的中核機関

帰施設の設置者及び地域生活支援事業を行

として、精神衛生センターを設けたこと

う者は、精神障害者の社会復帰の促進を図

4

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とする精神障害者の人権擁護と適正な精神科

令和 6 年版

昭和 62 年改正と精神保健法の成立

昭和 40 年改正以後における精神保健福祉

厚生労働白書

るため、相互に連携を図りながら協力する
よう努めなければならない」とする規定が
設けられたこと