よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


令和6年版厚生労働白書 全体版 (185 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
出典情報 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

第1部

こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に

(2)認知療法、認知行動療法

(認知行動療法の手法は、こころの不調を予防するためのセルフケアにも役立つ)
認知療法(認知行動療法)とは、人間の感情や行動が認知のあり方の影響を受けること
から、認知に働きかけて気分や行動を変化させることを目的とした短期の精神療法である。
人は自らの経験や環境の中で身に着けた「決まったものの考え方(自動思考)」をもと
に行動を決めることが知られており、自動思考の歪みがストレスや生きづらさの原因とな
ることが少なくない。認知行動療法は、この自動思考を多くの場面で適用しやすいものに


変化させ、行動を変容させていこうとする。

ス関連障害、双極性障害、統合失調症、不眠症といった精神疾患だけでなく、日常のスト
レス対処などにも、その適用範囲は広がりをみせている。
厚生労働省では、2009(平成 21)年度に「うつ病の認知療法・認知行動療法マニュア
ル」を策定・公表*12 しているほか、2010(平成 22)年度からうつ病の自殺対策として
認知行動療法研修事業を委託事業として実施し、2022(令和 4)年度までに 1,822 名が
うつ病の認知療法・認知行動療法ワークショップに参加した。さらに、他疾患でも有効性
が証明されてきた背景を踏まえ、2020(令和 2)年度からは不安症・強迫症・心的外傷
後ストレス障害といった疾患の認知行動療法の研修も実施している。
認知行動療法の手法は、日常的なストレスに対処し、私たち自身のこころの不調を予防
するためのセルフケアにも役立ちうるものである。栄養のある食事や適度な運動により身
体の調子を整えるように、こころの健康保持についても日頃から気をつけて取り組むこと
が重要である。

MEMO

ライフスタイルはこころの健康にも大切

第 1 章第 4 節でみたように、厚生労働省が

生活の中で、リラックスできる時間をもつこ

2023(令和 5)年度に行った「少子高齢社

とも大切だ。ゆっくりと腹式呼吸をする、ぼ

会等調査検討事業」によると、ストレスや不

んやりと窓の外を眺める、ゆったりお風呂に

安感が「ある、またはかなりあるが、特に何

入る、軽く体をストレッチする、好きな音楽

もしていない」と回答した人は 23.1%で、

を聴くなど、気軽にできることからまずやっ

年代が上がるにつれて対処をしている人が少

てみてはいかがだろうか。

ない傾向があることが分かった。

ただし、お酒を飲んでつらさを紛らわせよ

こころの健康のために日常から取り組みや

うとすると、睡眠の質が低下し、こころも不

すいセルフケアには、どのようなものがある

安定になることがあるので注意が必要であ

のだろうか。たとえば、バランスの取れた食

る。

事や良質の睡眠、適度な運動の習慣を維持す

(参考)国立研究開発法人国立精神・神経医

ることは、こころの健康の基礎固めになる。

療研究センター精神保健研究所「こころの情

ストレスがたまった時の対処として、日常

3

こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に

り、再発予防は薬物療法以上であることから注目されてきた。その後、不安障害、ストレ



認知行動療法は、うつ病に対する治療法として開発され、薬物療法に匹敵する効果があ

報サイト」

* 12 2015(平成 27)年度には「不安障害の認知療法・認知行動療法マニュアル」を策定・公表している。

令和 6 年版

厚生労働白書

169