令和6年版厚生労働白書 全体版 (86 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html |
出典情報 | 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
章
1
中には、専門的な支援が必要な人も含まれており*41、こころの不調と関係している場合も
ある。
同ガイドラインでは、不登校とひきこもりの関係について、「関連性が強い一群が確実
こころの健康を取り巻く環境とその現状
にある」としており、また、若年無業者とひきこもりの関係についても、
「ひきこもり問
題を抱え、専門的な支援を要する人が少なからず含まれている」とされていることから、
ひきこもり状態となっている人は、不登校のこどもや若年無業者のなかに横断的に存在し
ていることに留意が必要である。
さらに、内閣府が 2022(令和 4)年度に行った「こども・若者の意識と生活に関する
調査」によると、15 歳から 64 歳までの年齢層の約 2%がひきこもり*42 状態にあることが
分かった。ひきこもりは、若年層だけでなく、壮年期・中年期にも幅広くみられるといえ
る。
(3)高齢者と生きがいの低下
(近所付き合いや親しい友人の存在は、生きがいの実感と関係している)
第 1 節でみたように、高齢期は、
「喪失」に関連したイベントにストレスを感じやすく、
また、この時期に特有のライフイベントには、退職、子の独立、住み慣れた家からの転居
(施設入所など)
、死別など、喪失体験に直面しやすいものが多い。
一般に、喜びや楽しみを感じなくなることは、うつ病の主要な症状である憂うつ感の特
徴のひとつと考えられているが、内閣府「令和 4 年版高齢社会白書」によると、内閣府が
2021(令和 3)年に行った「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」では、
生きがい(喜びや楽しみ)を感じる程度について、
「十分感じている」と回答した 65 歳以
上の人は全体の 22.9%、「多少感じている」が 49.4%であった一方で、「あまり感じてい
ない」
、「まったく感じていない」と回答した人が 20.5%であった(図表 1-3-3)。
同調査によると、たとえば、近所の人との付き合いについて、趣味をともにする、お茶
や食事を一緒にするなどの付き合いをしていない人は、いずれもこうした付き合いをして
いる人に比べ、生きがい(喜びや楽しみ)を感じていない人の割合が高い傾向にあり、ま
た、親しくしている友人・仲間が少ない人についても同様の傾向がみられた(図表 1-34)
。
さらに、外出や情報機器の利用についても、これらが少ない人ほど生きがい(喜びや楽
しみ)を感じていない人の割合が高くなる傾向がみられている。
生きがい(喜びや楽しみ)を感じていない高齢者が、必ずしもこころの不調を抱えてい
るとは限らない。しかし、職業生活からの引退に伴い、それまでの人生の中心にあった仕
事のやりがいや職場の人間関係から離れた時に、近所付き合いや友人関係、そして外出や
インターネットの利用といった新たな他者との「つながり」に、喜びや楽しみを見出すこ
とが難しい人ほど、こころの不調につながりやすい精神状態に置かれる可能性があること
がうかがわれる。
* 41 厚生労働省ウェブサイト「ひきこもり支援推進事業」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/
seikatsuhogo/hikikomori/index.html)掲載資料「ひきこもり地域支援センターの取組状況によると、都道府県・指定都市のひきこ
もり地域支援センターが関係機関につないだ事案数(令和 5 年 3 月末現在)は 6,166 件であり、このうち「保健所・保健センター」へ
690 件(11.2%)、
「医療機関」へ 428 件(6.9%)
、
「精神保健福祉センター」へ 323 件(5.2%)となっている。
* 42 内閣府調査では、6ヶ月以上にわたり、普段の外出頻度が「趣味の用事のときだけ外出する」、「近所のコンビニなどには出かける」
、
「自室からは出るが、家からは出ない」
、
「自室からほとんど出ない」を選択した人で、妊娠や介護・看護等の理由がない人を広義のひき
こもりとして集計している。
70
令和 6 年版
厚生労働白書