「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (100 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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成人を対象として日常食混合たんぱく質の利用効率を実測した研究では、利用効率は平均 92.2%と
報告されている 27)。そこで、日常食混合たんぱく質の利用効率を 90%と見積もった。また、1~9 歳
小児における利用効率には、9~14 か月児について検討された結果(1 歳児における体重維持の場合
の利用効率が 70%6)を用いた。体重維持の場合の利用効率は成長に伴い成人の値(90%)に近づくと
考え、それぞれの年齢区分ごとに表4に示す値を用いた。これにより、日常食混合たんぱく質におけ
る維持必要量は、
(維持必要量 g/kg 体重/日)
=(良質な動物性たんぱく質における維持必要量)/(日常食混合たんぱく質の利用効率)
= 0.66÷0.9=0.73(成人の場合)
とした。
なお、たんぱく質維持必要量は kg 体重当たりで報告されているため、これに参照体重を乗じて 1
人 1 日当たりのたんぱく質維持必要量とした。すなわち、
(実効たんぱく質維持必要量(g/日))
=(維持必要量:0.73(g/kg 体重/日))×(参照体重(kg))
とした。
・授乳婦における付加量
授乳中は母体から見れば母乳に含まれるたんぱく質を損失する。したがって、この分を維持必要量
に付加する必要がある。母体に付加する必要があるたんぱく質量は、母乳中に含まれるたんぱく質量
を、食事性たんぱく質から母乳中のたんぱく質への変換効率で割ったものであると考え、
(維持必要量への付加量)
=(母乳中のたんぱく質量)/(食事性たんぱく質から母乳中のたんぱく質への変換効率)
とした。
なお、母乳中のたんぱく質量は、総論で示した 0~5 か月児の乳児の基準哺乳量(0.78 L/日)28,29)に、
この期間の母乳中のたんぱく質濃度の平均値(12.6 g/L)30–32)を乗じて算出した。また、食事性たんぱ
く質から母乳中のたんぱく質への変換効率は、1985 年の FAO/WHO/UNU による報告に基づき 70%と
した 33)。
表4 日常食混合たんぱく質の利用効率
年齢区分(歳)
利用効率(%)(男女共通)
1~9
70
10~11
75
12~14
80
15~17
85
18 以上
90
90