「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (175 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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量であると考えられる。以上より、現在の摂取量の中央値をもって目安量とした。
・高齢者(目安量)
高齢者でも、加齢に伴い、ビタミンEの吸収や利用が低下するとの報告は存在しないため、国民健
康・栄養調査(平成 30 年・令和元年)における摂取量の中央値を目安量とした。
・小児(目安量)
これまで健康な小児のビタミンEの目安量の推定に関するデータは見出されていない。そのため、
成人と同様に国民健康・栄養調査(平成 30 年・令和元年)における摂取量の中央値を目安量とした。
・乳児(目安量)
母乳中のビタミンE濃度は、初乳、移行乳そして成熟乳となるにつれて低下し、初乳(6.8~23 mg/L)
に対し、成熟乳(1.8~9 mg/L)ではおよそ 1/3~1/5 である 100)。また、母乳中のビタミンE濃度は、
早期産あるいは満期産には関係なく、更に日内変動もほとんど見られない 101)。日本人の母乳中のαトコフェロール量の平均値(約 3.5~4.0 mg/L)19,102)に基準哺乳量(0.78 L/日)21,22)を乗じると、2.7~
3.1 mg/日となるため(≒3.5~4.0 mg/L×0.78 L/日)、丸め処理を行って 3.0 mg/日を 0~5 か月児の目
安量とした。
6~11 か月児については、体重比の 0.75 乗を用いて体表面積を推定する方法で外挿すると、男児が
3.85 mg/日、女児が 3.80 mg/日となるため、4.0 mg/日を目安量とした。
・妊婦(目安量)
妊娠中には血中脂質の上昇が見られ、それとともに血中α-トコフェロール濃度も上昇する 97)。し
かしながら、妊婦でのビタミンE欠乏に関する報告は存在しない。また、妊娠合併症を有する者では
正常妊婦よりも血清ビタミンE濃度が低いとされるが、リスクに対する十分な閾値を見いだすにはエ
ビデンスが乏しい 103)。また、日本人妊婦を対象とした調査でも、血中α-トコフェロール濃度とビタ
ミンE摂取量との相関性は乏しく 104)、摂取量の増加が血中濃度に反映されにくいことも推察される。
以上より、妊婦での必要量を非妊婦よりも高く設定する根拠は乏しいと判断し、非妊娠時と同じく、
平成 30・令和元年国民健康・栄養調査から算出された非妊婦・非授乳婦の摂取量の調整済み中央値
(5.5 mg/日)を参考にし、5.5 mg/日を目安量とした。
・授乳婦(目安量)
母乳中のビタミンE濃度と授乳婦のビタミンE摂取量との関係が見られないという報告が複数あ
ることから 105,106)、授乳婦に特化した値を設定する必要はないとして、平成 30・令和元年国民健康・
栄養調査から算出された非妊婦・非授乳婦の摂取量の調整済み中央値(5.5 mg/日)を参考にし、5.5 mg/
日を目安量とした。
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