「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (218 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
に比べると通常の食品中の葉酸(folate)の生体利用率は低く、25~81%と報告されている 91–93)。また、
日本人を対象とした試験では、葉酸(folic acid)に対する通常の食品中の葉酸(folate)の相対生体利
用率は 50%と報告されている 4)。これらの結果に基づき、1998 年に発表されたアメリカ・カナダの食
事摂取基準 94)では「食事性葉酸当量(dietary folate equivalents:DFE)」という考え方を採用し、次式
を用いた上で、通常の食品に含まれる葉酸(folate)として摂取すべき量を設定している。
食事性葉酸当量(1 µg)
=通常の食品に含まれる葉酸(folate)(1 µg)
=通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(folic acid)(0.5 µg)
〔空腹時(胃内容物がない状態)に摂取する場合〕
=通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(folic acid)(0.6 µg)(食事とともに摂取する場合)
後述するように、この食事摂取基準では、推定平均必要量及び推奨量は通常の食品から摂取される
葉酸(folate)を対象として設定し、耐容上限量はサプリメント等から摂取される葉酸(folic acid)を
対象として設定している。上式は両者の生体利用率の違いを理解するために活用できる。
その後、通常の食品中の葉酸(folate)の相対生体利用率は 80%程度であろうとした報告 95)、通常
の食品中の葉酸(folate)の相対生体利用率を測定するための比較基準に葉酸(folic acid)を用いるの
は正しくないとする報告もあり 96)、現在でも、通常の食品中の葉酸(folate)の相対生体利用率を正確
に見積もるのは困難である。
2 指標設定の基本的な考え方
体内の葉酸(folate)の栄養状態を表す生体指標として、短期的な指標である血清中葉酸ではなく、
中長期的な指標である赤血球中葉酸濃度に関する報告 93,97)を基に検討した。
3 健康の保持・増進
3-1 欠乏の回避
3-1-1 推定平均必要量、推奨量の策定方法
・基本的な考え方
葉酸欠乏を回避できる葉酸摂取量を求めるために行われた試験では、後述するように、通常の食品
から摂取される葉酸(folate)を用いた研究が多い。また、推定平均必要量及び推奨量は、専ら通常の
食品から摂取される葉酸(folate)に対して用いられる。しかし、その量は日本食品標準成分表(七訂)
1)及び日本食品標準成分表(八訂)2)に合わせて、葉酸(folic acid)すなわちプテロイルモノグルタミ
ン酸相当量で示した。
・成人(推定平均必要量、推奨量)
葉酸欠乏症である巨赤芽球性貧血を予防するためには、赤血球中の葉酸濃度を 305 nmol/L(140
ng/mL)以上に維持することが必要であると報告されている 98)。この濃度を維持できる葉酸(folate)
の最小摂取量は、200 µg/日程度とする研究報告がある 93,97)。そこで、200 µg/日を成人の推定平均必要
量とした。推奨量は、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2 を乗じた 240 µg/日とした。また、必要量
に性差があるという報告が見られないため、男女差をつけなかった。男女間で計算値に差異が認めら
れた場合は、低い方の値を採用した。
208