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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (114 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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1-3 脂質
1 基本的事項
1-1 定義と分類
脂質(lipids)は、水に不溶で、有機溶媒に溶解する化合物である 1)。栄養学的に重要な脂質は、脂
肪酸(fatty acid)、中性脂肪(neutral fat)、リン脂質(phospholipid)、糖脂質(glycolipid)及びステ
ロール類(sterols)である。脂肪酸は、炭化水素鎖(水素と炭素のみからできている)の末端にカルボ
キシ基を有し、
総炭素数が 4~36 の分子である。
カルボキシ基があるので生体内の代謝が可能になり、
エネルギー源として利用され、また細胞膜の構成成分になることができる。脂肪酸には炭素間の二重
結合がない飽和脂肪酸、1 個存在する一価不飽和脂肪酸、2 個以上存在する多価不飽和脂肪酸がある
(図1)。さらに、多価不飽和脂肪酸はメチル基末端からの最初の二重結合の位置により、n-3 系脂
肪酸(メチル基末端から 3 番目)と n-6 系脂肪酸(メチル基末端から 6 番目)に区別される。二重結
合のある不飽和脂肪酸には幾何異性体があり、トランス型とシス型の 2 つの種類がある。自然界に存
在する不飽和脂肪酸のほとんどはシス型で、トランス型は僅かである。中性脂肪は、グリセロールと
脂肪酸のモノ、ジ及びトリエステルであり、それぞれ、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロ
ール、トリアシルグリセロール(トリグリセライド、トリグリセロール、中性脂肪)という。リン脂
質は、リン酸をモノ又はジエステルの形で含む脂質である。糖脂質は、1 個以上の単糖がグリコシド
結合によって脂質部分に結合している脂質である。
コレステロールは、4 つの炭素環で構成されているステロイド骨格と炭化水素側鎖を持つ両親媒性
の分子であり、脂肪酸とはその構造が異なる。しかし、食品中ではその大半が脂肪の中に存在するこ
とやその栄養学的な働きの観点から、本章に含めて検討することとした。

脂質(脂肪エネルギー比率)
飽和脂肪酸
(SFA)
一価不飽和脂肪酸
(MUFA)

シス型脂肪酸
n-6系脂肪酸

トランス型脂肪酸

多価不飽和脂肪酸
(PUFA)
n-3系脂肪酸

α-リノレン酸
EPA、DHA

図1 脂質とその構成
点線で囲んだ4項目について基準を策定した。

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