よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (381 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

5 乳児・小児における基準策定に当たっての留意点
5-1 エネルギー
エネルギーについては、摂取量と消費量のバランス(エネルギー収支バランス)を示す指標として
成人で BMI を採用しているが、目標とする BMI の提示は成人に限られていることから、乳児及び小
児では参考資料のエネルギー必要量を参照する。
なお、小児の体格の評価には、実測体重と標準体重から算出される肥満度を用いることが多く、歴
史的に肥満度 20%以上が肥満とされる 51)。小児 BMI については、パーセンタイル曲線が報告されて
いるが、成人と異なり、目標となり得る BMI 値は短期間に大きく変化する 52)。幼児及び小児の体格
は経時的に変化するため、エネルギー摂取量の過不足のアセスメントは、成長曲線(身体発育曲線)
を用いて成長の経過を縦断的に観察することで行う。すなわち、体重や身長を計測し、成長曲線(身
体発育曲線)のカーブに沿っているか、成長曲線から大きく外れるような成長の停滞や体重増加がな
いかなどを検討する。

5-2 たんぱく質
乳児の場合、たんぱく質必要量は、成人のように窒素出納法で決められないため、健康な乳児が摂
取する母乳や人工乳などに含有されているたんぱく質量と離乳食から摂取するたんぱく量から算定
されることになる。したがって、目安量の概念に基づいて策定した。
小児(1~17 歳)の推定平均必要量算定の参照値は、たんぱく質維持必要量と成長に伴い蓄積され
るたんぱく質蓄積量から要因加算法によって算出した。たんぱく質維持必要量は 1~17 歳において体
重 1 kg 当たりで示された同じ値(0.66 g/kg 体重/日)に参照体重を乗じ、更に年齢に応じた体重維持
の場合のたんぱく質利用効率で除した値である。新生組織蓄積量は、体重増加量と体たんぱく質の割
合を乗じ、蓄積効率で除して求められている。
また、推奨量は、個人間の変動係数を成人と同様に 12.5%と見積もり、推定平均必要量に推奨量算
定係数 1.25 を乗じた値とした。
なお、乳児期から離乳期のたんぱく質摂取量が多いと、乳児期の体重増加が大きいことや小児期の
BMI が高くなることが報告されている 53–56)。

5-3 脂質
成人では、飽和脂肪酸摂取量を少なくすることにより血清総コレステロール及び LDL-コレステロ
ールが低下すること、また、循環器疾患リスクが小さくなるとの報告が多いことから、7%エネルギー
以下という目標量が設定されている。一方、乳児及び小児期の飽和脂肪酸摂取量の健康影響について
は、十分な研究が存在するとは言い難いが、小児で飽和脂肪酸摂取が少ない(又は減らす)と血清 LDLコレステロール値が低い(下がる)とする論文は複数存在する 57–60)。また、動脈硬化症が小児期に始
まり、若年成人期に進行し、中年以降に冠動脈疾患が発症することは昔からよく知られている 61,62)。
小児期の食習慣が成人期に引き継がれ、疾病罹患に関連し得ることについては複数の報告があり 63,64)、
小児期の飽和脂肪酸摂取量と血清脂質プロファイルとの関連には更なる情報が必要であるものの、小
児期より飽和脂肪酸の過剰摂取を避けることには疾病予防の観点から意味があるものと考えられる。
諸外国においても、小児の飽和脂肪酸摂取量について、成人とほぼ同じ値(10%エネルギー程度以下)
が設定されている場合が多い 65)。

371