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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (383 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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小児においても、ビタミンD欠乏性くる病における血清 25-ヒドロキシビタミンD値の基準は、20
ng/mL 以下とされており 77)、この値を下回ると骨折リスクが増大することも報告されている 81)。日本
人の思春期の男女を対象とした調査で、血清 25-ヒドロキシビタミンD値が 20 ng/mL を超えるには、
男子で 12 µg/日以上、女子で 14 µg/日以上のビタミンD摂取が必要となることも示されているが、小
児独自の目安量を算定する科学的根拠が乏しいことから、成人の目安量から外挿して算定した。

5-6 ビタミンK
ビタミンKは胎盤を通過しにくいこと 82)、母乳中のビタミンK含量が低いこと 15,17)、乳児では腸内
細菌によるビタミンK産生・供給量が低いと考えられること 82)から、新生児はビタミンKの欠乏に陥
りやすい。出生後数日で起こる新生児メレナ(消化管出血)や、約 1 か月後に起こる特発性乳児ビタ
ミンK欠乏症(頭蓋内出血)は、ビタミンKの不足によって起こることが知られており、臨床領域で
は出生後直ちにビタミンKの経口投与が行われる 83)。以上より、臨床領域におけるビタミンK経口投
与が行われていることを前提として、目安量を設定した。

5-7 ナトリウム
2012 年の世界保健機関(WHO)のガイドライン 84)では、小児に対しては、成人の値(5 g/日未満)
をエネルギー必要量に応じて修正して用いることとしている。しかし、女児ではエネルギー必要量が
少ないために、算出される値が大きくなる。そのため、後述するカリウムと同様、参照体重を用いて
外挿した。
WHO の提案する 5 g/日未満を、目標量算出のための参照値とした。次に、成人(18 歳以上男女)
における参照体重(58.6 kg)と性別及び年齢区分ごとの参照体重を用い、その体重比の 0.75 乗を用い
て体表面積を推定する方法により外挿し、性別及び年齢区分ごとに目標量を算定した。
具体的には、
5 g/日×(性別及び年齢区分ごとの参照体重 kg÷58.6 kg)0.75
とした。次に、この方法で算出された値と現在の摂取量の中央値(平成 30 年・令和元年国民健康・栄
養調査)の中間値を小児の目標とした。

5-8 カリウム
生活習慣病予防との関連について、1~2 歳のカリウム摂取では、摂取量の評価そのものが難しく、
我が国における摂取実態の詳細は明らかになっていないなど、目標量を算定する根拠が乏しい。3~5
歳児については摂取量の平均値が男児 1,785 mg、女児 1,676 mg と報告があり 71)、この値も考慮して
3~17 歳に対して成人と同じ方法で目標量を算出した。なお、算出された目標量よりも現在の平均摂
取量が多い場合には、現在の平均摂取量を目標量とした。WHO のガイドライン 85)では、成人の目標
量をエネルギー必要量で補正しているが、男女で同じ目標量を使用すると、女児ではエネルギー必要
量が少ないために、算出される値が大きくなることから、参照体重を用いて外挿した。

5-9 カルシウム
乳児の目安量については、母乳中のカルシウム濃度及び哺乳量から算出されている。乳児用調製乳
は母乳に近い組成になっているが、その吸収率は母乳の吸収率約 60%86)に対して、約 27~47%とやや

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