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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (443 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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(3) 糖尿病
1 糖尿病と食事の関連
1-1 概念と定義
糖尿病は、インスリンの作用不足に基づく慢性の高血糖状態を主徴とする代謝症候群である。イン
スリン作用が不足する機序には、膵β細胞からのインスリンの供給不全(インスリン分泌不全)とイ
ンスリンが作用する臓器におけるインスリンの作用低下(インスリン抵抗性)とがある。インスリン
分泌不全は膵β細胞の機能不全が、インスリン抵抗性は代謝異常肥満や加齢が主な病態の基軸をなす
と考えられている。糖尿病の原因は多様であり、その発症には遺伝因子と環境因子が共に関与する。
現在、糖尿病は成因(機序)と病態(病期)による分類がなされている。成因は大きく 1 型と 2 型
に分けられる。1 型糖尿病は、自己免疫による膵β細胞の破壊が生じた結果、インスリンの絶対的欠
乏を来して発症する糖尿病である 1)。2 型糖尿病の多くは、インスリン分泌低下とインスリン抵抗性
に関与する複数の遺伝因子を背景に、過食や運動不足などの生活習慣が加わる、又は加齢とともに発
症する糖尿病である。いずれの病型であっても、経時的に病態は変化し、かつ治療により修飾される。
そこで、病態(病期)による分類も設定されおり、インスリンの作用不足の程度によって、インスリ
ン治療が生命維持に必須であるインスリン依存状態とそうでない非依存状態に分けられる 1)。本項で
は、その発症に食事との関連が特に深い 2 型糖尿病を主に扱う。
糖尿病の診断は、日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイド 2022-2023」2)に記載されているように、血
液検査での高血糖の確認、合併症(糖尿病網膜症)の有無、口渇、多飲、多尿、休重減少などの糖尿
病の典型的な症状の有無を組み合わせ、高血糖が慢性に持続していることを証明することにより行わ
れる(図1)。
糖尿病型



血糖値(空腹時≧ 126mg/dL、2時間≧ 200mg/dL、随時≧ 200 mg/dLのいずれか)
HbA1c≧6.5 %
初回検査

血糖値とHbA1c
ともに糖尿病型

HbA1cのみ
糖尿病型

血糖値のみ
糖尿病型
• 糖尿病の典型的症状
• 確実な糖尿病網膜症
のいずれか

糖尿病

血糖値と
HbA1c
ともに糖尿病型

血糖値
のみ
糖尿病型
糖尿病

再検査
(血糖検査
は必須)

再検査

HbA1c
のみ
糖尿病型

いずれも
糖尿病型
でない

糖尿病の疑い

血糖値と
HbA1c
ともに糖尿病型

血糖値
のみ
糖尿病型

HbA1c
のみ
糖尿病型

糖尿病

いずれも
糖尿病型
でない

糖尿病の疑い

3~6ヵ月以内に血糖値・HbA1cを再検査

注)糖尿病が疑われる場合は、血糖値と同時にHbA1cを測定する。同日に血糖値とHbA1cが
糖尿病型を示した場合には、初回検査だけで糖尿病と診断する。

図1 糖尿病の臨床診断のフローチャート
日本糖尿病学会「糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版)」、糖尿病 55(7), p.494, 2012 より一部改変

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