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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (382 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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我が国の小児の飽和脂肪酸摂取量は成人よりも多く、摂取量の中央値は 8~10%エネルギー程度で
あり、成人における目標量(7%エネルギー以下)を小児に当てはめるとほぼ全員がこの値以上に飽和
脂肪酸を摂取しているとの報告がある 66)。一方、我が国の小児の飽和脂肪酸摂取量は、欧米諸国の小
児と比較して現状でも低い 65)。そこで、3 歳以上の小児でも、成人と同様に日本人が現在摂取してい
る飽和脂肪酸量を測定し、その中央値をもって目標量(上限)とすることにした。最近の調査で得ら
れた摂取量(中央値)を基に、活用の利便性を考慮し、目標量(上限)を男女共通の値として、3~14
歳は 10%エネルギー、15~17 歳は 9%エネルギーとした。1~2 歳については、この年齢区分における
循環器疾患の危険因子との関連を検討した研究が少なかったこと、日本人の摂取量の実態に関する信
頼度の高い報告はまだ少なく、その実態はまだ十分に明らかにされていないと考えられたことなどを
考慮して、今回は目標量の設定を見送った。

5-4 炭水化物(食物繊維)
小児において頻度の高い健康障害として便秘があり、高食物繊維摂取による便秘改善の効果が検討
されているが、量的な議論は少なく目標量の算定には利用できない 67,68)。また、小児において、その
他の生活習慣病の発症や重症化予防に食物繊維摂取量がどう関与しているのかについての報告は乏
しい。
しかしながら、生活習慣病の発症には、長期間にわたる習慣的な栄養素摂取量が影響することから、
小児期の食習慣が成人後の循環器疾患の発症やその危険因子に影響を与えている可能性も示唆され
ている 64)。また、小児期の食習慣は、
その後の食習慣にある程度影響するという報告が複数ある 63,64,69)。
以上から、小児期においても食事摂取基準を算定することが勧められている 70)。
日本人の小児の食物繊維摂取量は、3~5 歳及び小中学生について報告がある 71,72)。3~5 歳男児に
おける中央値は 8.7 g/日、女児は 8.5 g/日 71)であり、小学校 3 年生男児 12.1 g/日、女児 11.5 g/日、中学
校 2 年生男児 15.3 g/日、女児 15.8 g/日であった 72)。3 歳未満の小児については、我が国における摂取
実態の詳細は明らかになっておらず、目標量を算定する根拠が乏しいことから、3~17 歳に限って成
人と同じ方法で目標量を算出した。なお、算出された目標量よりも現在の摂取量の中央値が多い場合
には、現在の摂取量の中央値を目標量とした。

5-5 ビタミンD
母乳栄養児でのビタミンD不足は、国際的に課題となっている 73)。我が国でも、母乳栄養児でビタ
ミンD不足によるくる病及び低カルシウム血症の発症が報告されている 74,75)。また、新生児の頭蓋癆
(頭蓋骨の石灰化不良)には季節変動が見られ、在胎中の日照時間に関連することが示されている 76)。
これらの報告を受けて、日本小児内分泌学会の「ビタミンD欠乏性くる病・低カルシウム血症の診断
の手引き」では、ビタミンD欠乏の危険因子として、完全母乳栄養、母親のビタミンD欠乏、日光曝
露不足が挙げられている 77)。したがって、乳児の目安量は、母乳に含まれるビタミンⅮ量から算定す
ると不足を回避するのは困難であるため、くる病防止に必要な量 78)として定めた。また、「離乳・授
乳の支援ガイド」では、母乳育児を行っている場合、生後 5~6 か月を目安として離乳を開始すると
ともに、ビタミンDの供給源となる食品を積極的に摂取するなど、離乳の進行を踏まえてそれらの食
品を意識的に取り入れることを推奨している 79)。欧米人を対象とした研究では、6 か月児で、血中 25ヒドロキシビタミンD値を正常下限に維持するためには、帽子なしの着衣状態で週 2 時間、おむつの
み着用した状態で週 30 分の日光照射が必要であると報告している 80)。
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