「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (166 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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1 基本的事項
1-1 定義と分類
ビタミンDは食品から摂取されると同時に、紫外線曝露によって皮膚でも産生され、その両方が体
内でビタミンDとして利用される。
食品中に存在し、ビタミンDの活性を有する化合物は、キノコ類に含まれるビタミンD2(エルゴカ
ルシフェロール)と魚肉及び魚類肝臓に含まれるビタミンD3(コレカルシフェロール)に分類される
(図1)。
ヒトを含む哺乳動物の皮膚には、プロビタミンD3(7-デヒドロコレステロール、プロカルシフェロ
ール)がコレステロール生合成過程の中間体として存在し、紫外線の曝露によりプレビタミンD3(プ
レカルシフェロール)となり、体温による熱異性化を経てビタミンD3(コレカルシフェロール)とな
る。ビタミンD2 とビタミンD3 は、側鎖構造のみが異なる同族体で、体内で同様に代謝される。効力
については、ビタミンD3 の方が、ビタミンD2 より効力が大きいという報告が見られるが 34)、現時点
では両者の換算は困難であるため、ビタミンDの食事摂取基準は両者を区別せず、両者の合計量とし
て算定した。
また、質量以外に IU という単位も用いられ、1 µg = 40 IU である。
CH3
H3C
CH3
CH3
H3C
CH3
CH3
CH2
HO
CH3
CH3
CH2
HO
ビタミンD2
(C28H44O、分子量=396.7)
ビタミンD3
(C27H44O、分子量=384.6)
図2 ビタミンD2 とビタミンD3 の構造式
1-2 機能
ビタミンDの主な作用は、ビタミンD依存性たんぱく質の働きを介して、腸管でのカルシウムとリ
ンの吸収並びに腎臓での再吸収を促進することである。その他の機能として、骨髄(骨芽細胞やリン
パ球など)、免疫系に属する細胞、皮膚、乳房や前立腺の上皮細胞、筋肉、腸などの様々な細胞にお
ける分化促進や増殖抑制作用が挙げられる 35,36)。
1-3 消化、吸収、代謝
ビタミンDは、肝臓で 25-ヒドロキシビタミンDに代謝され、続いて腎臓で活性型である 1α, 25-ジ
ヒドロキシビタミンDに代謝される。1α, 25-ジヒドロキシビタミンDは、標的細胞の核内に存在する
ビタミンD受容体と結合し、遺伝子の転写制御を行う。血中の 25-ヒドロキシビタミンD濃度は、摂
取と皮膚での産生の双方の体内のビタミンD量を反映することから、ビタミンDの生体指標とされて
いる 37)。一方、1α, 25-ジヒドロキシビタミンDは、健康な人でその血中濃度は常に一定に維持され
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