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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (46 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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て、活用においてどの栄養素を優先的に考慮するかが異なるため、これらの特性や状況を総合的に把
握し、その活用の方法を判断することになる。
食事摂取基準の活用の狙いとしては、エネルギー摂取の過不足を防ぐこと、栄養素の摂取不足を防
ぐことを基本とし、生活習慣病等の発症・重症化予防を目指すことになる。また、通常の食品以外の
食品等、特定の成分を高濃度に含有する食品を摂取している場合には、過剰摂取による健康障害を防
ぐことにも配慮する。
栄養素の摂取不足の回避については、十分な科学的根拠が得られる場合には推定平均必要量と推奨
量が設定され、得られない場合にはその代替指標として目安量が設定されていることから、設定され
た指標によって、数値の信頼度が異なることに留意する。また、推定平均必要量と推奨量が設定され
ている場合でも、その根拠が日本人を対象にしたものではなく、諸外国の特定の国の基準を参考にし
て算定されている場合や、日本人における有用な報告がないため、諸外国の研究結果に基づき算定さ
れている場合がある。このように同一の指標でも、その根拠により示された数値の信頼度が異なるこ
とに留意する。
生活習慣病の発症予防に資することを目的に目標量が設定されているが、生活習慣病の発症予防に
関連する要因は多数あり、食事はその一部である。そのため、目標量を活用する場合は、関連する因
子の存在とその程度を明らかにし、これらを総合的に考慮する必要がある。例えば、喫煙や運動不足
は多くの生活習慣病の危険因子である。栄養面でも、食塩や飽和脂肪酸の過剰摂取など、単一の生活
習慣病に複数の栄養素が関連していることが多い。それらの存在を確認するとともに、それぞれの因
子の科学的根拠の強さや発症に影響を与える程度を確認する必要がある。さらに、対象者や対象集団
における疾患のリスクがどの程度で、関連する因子を有している状況やその割合がどれほどかを把握
した上で、どの栄養素の摂取量の改善を目指すのかについて、総合的に判断することになる。食事摂
取基準では、目標量についてエビデンスレベルを示している。目標量の活用に当たっては、エビデン
スレベルも適宜参照するのが望ましい。
食事摂取基準では複数の栄養素に対して基準が策定されているため、最も満たすことが難しい基準
に合わせて食事を計画する(食品を組み合わせる)場合、比較的基準を満たしやすい他の栄養素の摂
取量が推奨量を大きく上回る可能性がある。このような場合、摂取量が耐容上限量に近いほどの多さ
でない限り、そのまま食事を提供して問題ない。いわゆる健康食品やサプリメントなどではない通常
の食品を複数組み合わせた食事で、耐容上限量を超える栄養素摂取量となる可能性は低い。

4-4 目的に応じた活用上の留意点
4-4-1 個人と集団における食事摂取基準活用の相違点
個人のエネルギー・栄養素摂取量を食事摂取基準の指標と比較する際に分かることは、その個人に
おけるエネルギー・栄養素摂取量が不足又は過剰である可能性の有無、あるいは確率の高低である。
集団において食事摂取基準を使用する場合は、当該集団においてエネルギー・栄養素が不足又は過剰
である者が存在する可能性の有無、あるいはその割合の大小となる。いずれの場合も指標に合致する
摂取状況であるのが好ましいのは同じであるが、食事摂取基準の活用の対象が個人であるか集団であ
るかによって、摂取量と食事摂取基準の指標との比較の方法及び比較によって分かることが異なるこ
とには注意が必要である。よって、以下の活用上の留意点は個人を対象とした場合と集団を対象とし
た場合を分けて記述する。

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