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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (310 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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3-1-2 推定平均必要量、推奨量の策定方法
・成人・高齢者(推定平均必要量、推奨量)
アメリカ・カナダの食事摂取基準 62)では、亜鉛摂取量 20 mg/日以下の成人(18~40 歳)男性を対象
とした報告 63–69)から、腸管内因性排泄量に関して、以下の式が成立するとしている。
腸管内因性排泄量=0.6280×真の吸収量+0.2784(mg/日)
この式は、男女間の体重差にかかわらず適用できるとしていることから、日本人の成人男女にもそ
のまま適用できると判断した。また、
総排泄量=腸管内因性排泄量+腸管以外への体外排泄量
腸管以外への体外排泄量=尿中排泄量+体表損失量+精液又は月経分泌物損失量
より、
総排泄量=0.6280×真の吸収量+0.2784+(尿中排泄量+体表損失量+精液又は月経分泌物
損失量)
となる。
日本の若年女性について、亜鉛の尿中排泄量を 0.366 mg/日 70)、0.351 mg/日 71)、0.306 mg/日 72)、0.374
mg/日 73)とする報告があることから、これらを平均した 0.349 mg/日を 18〜29 歳女性の尿中排泄量と
考えた。この値を、体重比の 0.75 乗を用いて同じ年齢層の男性に外挿すると 0.409 mg/日となる。一
方、アメリカ・カナダの食事摂取基準 62)では、成人男性の亜鉛の体表損失量と精液損失量をそれぞ
れ 0.54 mg/日と 0.1 mg/日、成人女性の亜鉛の体表損失量と月経分泌物損失量をそれぞれ 0.46 mg/日
と 0.1 mg/日に見積もっている。これらの数値をアメリカ・カナダの食事摂取基準における成人男女の
参照体重(男性 76 kg、女性 61 kg)に対するものと考え、我が国の 18~29 歳における男女それぞれ
の参照体重との比の 0.75 乗を用いて外挿すると、
男性の体表損失量と精液損失量はそれぞれ 0.469 mg/
日と 0.087 mg/日、女性の体表損失量と月経血損失量は 0.402 mg/日と 0.087 mg/日となる。以上の数値
を上記の総排泄量の算定式に代入すると、
男性:総排泄量=0.6280×真の吸収量+0.2784+(0.409+0.469+0.087)(mg/日)
女性:総排泄量=0.6280×真の吸収量+0.2784+(0.349+0.402+0.087)(mg/日)
となる。これらの式から出納がゼロ、すなわち総排泄量=真の吸収量となるときの真の吸収量を計算
すると、男性 3.343 mg/日、女性 3.003 mg/日となる。
総排泄量を補う真の吸収量の達成に必要な摂取量の算出については、以下のように考える。イギリ
スとアメリカの成人男性を対象にした研究 63–69)からは、回帰式「真の吸収量=1.113×摂取量 0.5462」
が得られる。この式の真の吸収量に上記の数値を代入すると、摂取量は、男性 7.490 mg/日、女性 6.156
mg/日となる。これらの値を 18~29 歳の男女における推定平均必要量とし、体重比の 0.75 乗を用いて
外挿することで、男女それぞれの年齢区分における推定平均必要量を算定した。
高齢者について、月経血又は精液による亜鉛の損失は考慮しなくてよいが、高齢者では亜鉛吸収能
力が低下しているという報告があることから 74)、18~29 歳の男女における推定平均必要量をそのま
ま体重比の 0.75 乗を用いて外挿することで推定平均必要量を算定した。
成人男性と 65 歳以上の女性の推奨量は、
推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2 を乗じて算出した。65
歳未満の女性の推奨量は、日本人の月経分泌物量が 67.4 ± 27.4 g/日であり変動が大きい 18)ことを考慮
し、個人間の変動係数を 12.5%と見積もって、推定平均必要量に 1.25 を乗じた値とした。

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