「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (473 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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骨粗鬆症の発症予防としては、骨量減少にある者と骨粗鬆症及び骨量減少のない正常な骨密度を有
する者を対象に、若年者に対しては最大骨量の最大化を、閉経期女性に対しては閉経後骨量減少を、
男性に対しては加齢による骨密度低下を、それぞれ最小化することを目指すことになる。現時点では、
若年者への介入で最大骨量が上昇したとしても、それが高齢期の骨粗鬆症予防につながることを直接
的に証明できるほど長期にわたる追跡研究はないが、若年期に高い骨密度を獲得しておくと、後年に
なって骨密度の低下があっても、骨粗鬆症の発症や骨折閾値への到達を遅らせることができ、骨粗鬆
症の発症予防に資すると考えられる。日本人女性における年齢別骨密度に関する調査によると、思春
期に骨密度は高まり、およそ 20 歳で最大値に達し、40 歳代前半までそれが持続した後に閉経前頃か
ら低下することが示されており 5)、最大骨量を最大化するための最も効果的な介入時期は少なくとも
18 歳以前にあるといえる。「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015 年版」6)では、「若年者におけ
る予防」、「中高年者における予防」として、それぞれ高い骨密度獲得に関する介入、骨折リスクの
低減に関する記述を行っている。
また、骨粗鬆症を有していても、骨密度が低下するだけでは重大な支障を来さないが、一度骨折す
ると心身に重大な障害を来し、特に大腿骨近位部骨折や椎体骨折をすると死亡のリスクも上昇する 7,8)。
したがって、骨粗鬆症予防の最終目標は骨折予防であり、骨粗鬆症の重症化予防としては低外力によ
って生じる脆弱性骨折のリスクの低減が重要となる。「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015 年
版」6)では、骨粗鬆症の一般的な治療における食事指導の内容として、栄養素全体の摂取のバランス
を取ることについて述べた上で、各栄養素に関して記述を行っている。本項において、重症化予防の
観点では、主に中高年者を対象とした脆弱性骨折リスクと食事要因の関連について述べる。
1-3 骨粗鬆症、骨折の危険因子
骨粗鬆症の主要な危険因子は、女性、高齢、低体重、閉経である 9,10)。特に骨折には、後に詳述す
る栄養、食事に関するもの以外に、表2に示すように多くの危険因子が存在する 6)。また、大腿骨近
位部骨折は、転倒して起こることが多い。また、骨折リスク評価ツール(fracture risk assessment tool):
FRAX11)も国際的に広く用いられており、年齢、性、大腿骨頸部骨密度(骨密度が測定できない場合は
BMI)、既存骨折、両親の大腿骨近位部骨折歴、喫煙、飲酒、ステロイド薬使用、関節リウマチ、続
発性骨粗鬆症といった危険因子の有無を基に、骨折高リスク者を判別することができる。
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