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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (379 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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2-3 乳児用調製粉乳等による栄養素摂取
生後 5~6 か月までの乳児の栄養源は、100%乳汁に依存する場合が多い。既に述べたように、母乳
栄養が乳児にとって最適ではあるが、平成 27 年度乳幼児栄養調査の結果では、母乳栄養の割合は 1
か月で 51.3%、3 か月で 54.7%、と 10 年前の調査に比し、特に 3 か月での割合が増加している 37)。一
方、人工栄養の割合は、1 か月で 3.6%、3 か月で 10.2%と 10 年前に比しいずれも減少している 37)。健
康な児においては、現在、使用されている乳児用調製乳での栄養素の欠乏・過剰は報告されていない。
一方、近年、牛乳アレルギー、小児慢性腎臓病、先天性代謝異常症、小児難治性てんかん、新生児・
乳児胆汁うっ滞症、先天性胆道閉鎖症、副甲状腺機能低下症などの多くの疾患の治療ガイドラインで
特殊ミルク及び治療乳の必要性が示されている 38–40)。これらの特殊ミルク及び治療乳を使用している
乳幼児で、ビオチン、カルニチン、セレンの欠乏症が報告されていたことなどから 41–47)、現在ビオチ
ン、セレンは一部のミルクを除いて添加が進められている。コーデックス委員会は、2007 年に Standard
for Infant Formula and Formation for Special Medical Purposed Intended for Infants を発表している 48)。こ
のコーデックス委員会の規格基準での諸外国の育児用ミルク及び治療乳を授乳している乳児におい
ては、欠乏症や過剰症の報告は見られないことより、人工栄養児の場合は、コーデックス規格程度の
栄養素摂取を目安量とするのが適切であると考えられる。なお、欠乏症の報告は見当たらないものの、
離乳食開始前の月齢において乳児用調製乳のみを摂取している場合には食事摂取基準の推奨量や目
安量を満たさないと推定される栄養素(ヨウ素、マンガン)が存在する。
0~5 か月児の乳児用調製乳摂取量については、約 800 mL/日、エネルギー摂取量は約 600 kcal/日、
たんぱく質摂取量は約 13 g/日との報告がある 49)。また、母乳栄養児と人工栄養児とでは 6 か月まで
の体重及び身長の増加に有意差はなかったとの報告がある 50)。

2-4 離乳食の摂取量
離乳期における各栄養素の摂取量を報告 8,36)したデータは少なく、前回の検討の後に報告された論
文は見られなかった。したがって、各栄養素については、日本人の食事摂取基準(2020 年版)と同じ
値を用いた。すなわち、離乳開始後(6~8 か月、9~11 か月)については、エネルギー、たんぱく質、
その他栄養素の摂取量に違いが見られるため、それぞれの年齢区分において、母乳(0.60 L/日、0.45
L/日又は 0.53 L/日)からの栄養素摂取量及び離乳食からの摂取量を算出し、目安量算定のための参照
値とした(表1)。

3 小児
食事摂取基準の策定に有用な研究で小児を対象としたものは少ない。そこで、十分な資料が存在し
ない場合には、外挿方法の基本的な考え方(『Ⅰ総論、3 策定の留意事項』の 3-5 を参照)で示した
外挿方法を用いて、成人の値から推定した。耐容上限量に関しては、情報が乏しく、算定できないも
のが多かった。しかし、これは、多量に摂取しても健康障害が生じないことを保証するものではない。

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