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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (27 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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●小児
食事摂取基準の策定に有用な研究で小児を対象としたものは少ない。そこで、十分な資料が存在し
ない場合には、成人の値から外挿して求めた。
耐容上限量に関しては、情報が乏しく、算定できないものが多かった。しかし、これは、多量に摂
取しても健康障害が生じないことを保障するものではないことに十分に注意すべきである。
●高齢者
高齢者では、咀嚼・嚥下能力の低下、消化・吸収率の低下、運動量の低下に伴う摂取量の低下など
が存在する。また、これらは個人差が大きい。さらに、多くの者が何らかの疾患を有している。その
ため、年齢だけでなく個人の特徴に十分に注意を払うことが必要である。

3 策定の留意事項
3-1 摂取源
食事として経口摂取される通常の食品に含まれるエネルギーと栄養素を対象とする。ただし、耐容
上限量については、いわゆる健康食品やサプリメント(以下「通常の食品以外の食品」という。)由
来のエネルギーと栄養素も含むものとする。耐容上限量以外の指標については、通常の食品からの摂
取を基本とするが、通常の食品のみでは必要量を満たすことが困難なものとして、胎児の神経管閉鎖
障害のリスク低減のために、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性及び妊娠初期の女性
に付加する葉酸に限り、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(folic acid)の摂取について提示する。

3-2 摂取期間
食事摂取基準は習慣的な摂取量の基準を与えるものであり、それを「1 日当たり」を単位として表
現したものである。短期間(例えば 1 日間)の食事の基準を示すものではない。これは、栄養素摂取
量は日間変動が大きい 7–10)ことに加え、食事摂取基準で扱っている健康障害がエネルギー及び栄養素
の習慣的な摂取量の過不足によって発生するためである。
栄養素摂取の不足や過剰に伴う健康障害を招くまでに要する期間は、栄養素や健康障害の種類によ
って大きく異なる。例えば、ほぼ完全にビタミンB1 を除去した食事を与えると 2 週間後に血中ビタ
ミンB1 濃度が大きく減少し、欠乏に由来すると考えられる様々な症状が 4 週間以内に出現したとの
報告があり 11)、これは 1 か月間以内での栄養管理の必要性を示している。一方、ナトリウム(食塩)
の過剰摂取は加齢に伴う血圧上昇に相関するとの報告があり 12)、これは数十年間にわたる栄養管理の
重要性を示している。このように、健康障害を招くまで、又は改善させるまでに要する期間は、栄養
素の種類や健康障害の種類によって大きく異なる。
一方、栄養素等の摂取特性、すなわち日間変動の点からも習慣的な摂取の期間を具体的に示すのは
困難である。極めて大まかなものではあるが、エネルギー及び栄養素の摂取量の日間変動を観察した
研究結果 8–10)に基づくと、ある程度の測定誤差・個人間差を容認し、日間変動が非常に大きい一部の
栄養素を除けば、習慣的な摂取を把握するため又は管理するために要する期間はおおむね「1 か月間
程度」と考えられる。

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