「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (210 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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高齢者については、血漿 PLP が年齢の進行に伴って減少するという報告 53)はあるが、現時点では
不明な点が多い。また高齢者について、必要量の算定に当たり特別の配慮が必要であるというデータ
はないことから、成人(18~64 歳)と同様に、0.019 mg/g たんぱく質を推定平均必要量算定の参照値
とし、対象年齢区分のたんぱく質の食事摂取基準の推奨量を乗じて推定平均必要量を算定した。推奨
量は、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2 を乗じた値とした。
・妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
ビタミンB6 の付加量は、胎盤や胎児に必要な体たんぱく質の蓄積を考慮して設定した。すなわち、
成人(非妊娠時)での PN の推定平均必要量算定の参照値(1 g たんぱく質当たり 0.014 mg)と妊娠期
のたんぱく質の蓄積量を基に算定し、これに相対生体利用効率を考慮した値とした。妊娠期において
は、多くの栄養素の栄養効率が高くなるが、ビタミンB6 に関するデータは見当たらないので、妊娠
期においても食事性ビタミンB6 の PN に対する相対生体利用効率を 73%とした 3)。
妊娠初期
(0.014 mg/g たんぱく質×0 g/日(p.92、表6参照)=0 mg/日)÷0.73=0 mg/日
妊娠中期
(0.014 mg/g たんぱく質×1.94 g/日(p.92、表6参照)=0.027 mg/日)÷0.73=0.037 mg/日
妊娠後期
(0.014 mg/g たんぱく質×8.16 g/日(p.92、表6参照)=0.114 mg/日)÷0.73=0.156 mg/日
したがって、妊娠期のビタミン B6 の推定平均必要量の付加量は、初期は 0 mg、中期は 0.037 mg、
後期は 0.156 mg と算定される。推奨量の付加量は、これらの値に推奨量算定係数 1.2 を乗じて、初期
0 mg、中期 0.044 mg、後期 0.187 mg と算定される。
しかし、これらの算定値はあくまでも妊婦のたんぱく質要求量の増大に基づいた数値であり、妊娠
期は個々人によるたんぱく質要求量が著しく異なる。妊娠期は特に代謝が亢進される時期であること
から、妊娠後期で算定された値を、妊娠期を通じた必要量とした。
以上により、妊婦のビタミンB6 の推定平均必要量の付加量は、妊娠後期のたんぱく質要求量の増
大から算定された 0.156 mg/日を丸め処理した 0.2 mg/日とした。推奨量の付加量は、推定平均必要量
に推奨量算定係数 1.2 を乗じると 0.187 mg/日となり、丸め処理を行って 0.2 mg/日とした。
・授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
授乳婦の推定平均必要量の付加量は、母乳中のビタミンB6 濃度(0.25 mg/L)54,55)に 0~5 か月児の
乳児の基準哺乳量(0.78 L/日)10,11)を乗じ、相対生体利用率(73%)3)を考慮して算出(0.25 mg/L×0.78
L/日÷0.73)すると 0.267mg/日となり、丸め処理を行って 0.3 mg/日とした。推奨量の付加量は、丸め
る前の推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数 1.2 を乗じると 0.32 mg/日となり、これに丸め処理
を行って 0.3 mg/日とした。
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