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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (142 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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食物繊維摂取量が多いと体重や収縮期血圧、総コレステロール値が低いことも報告されている 26)。
食物繊維摂取量が多いと排便頻度が高いことや、食物繊維の投与が慢性便秘の改善に効果的である
ことが報告されている 31)。どの程度の量で慢性便秘の予防や改善が認められるかについては研究結果
が一致していないが、これは食物繊維のうちでも、摂取するものの水溶性・不溶性の別や発酵性の違
いによって排便への影響が異なるためと考えられている 31)。
以上のように、食物繊維は摂取不足が生活習慣病の発症に関連するという報告が多いことから、目
標量を設定することとした。

3 炭水化物
3-1 健康の保持・増進
3-1-1 生活習慣病の発症予防
3-1-1-1 目標量の策定方法
・成人・高齢者・小児(目標量)
炭水化物の多い食事は、その質への配慮を欠くと、精製度の高い穀類や甘味料・甘味飲料、酒類に
過度に頼る食事になりかねない。これは好ましいことではない。同時に、このような食事は数多くの
ビタミン類やミネラル類の摂取不足を招きかねないと考えられる 24)。これは、精製度の高い穀類や甘
味料・甘味飲料、酒類は数多くのミネラル、ビタミンの含有量が他の食品に比べて相対的に少ないか
らである。たんぱく質の目標量の下の値(13 又は 15%エネルギー)と脂質の目標量の下の値(20%エ
ネルギー)に対応する炭水化物の目標量は 67 又は 65%エネルギーとなるが、上記の理由のために、
それよりもやや少ない 65%エネルギーを目標量(上限)とすることとした。したがって、たんぱく質、
脂質、炭水化物のそれぞれの目標量の下の値の合計は 100%エネルギーにはならない。この点に注意
して用いる必要がある。
一方、目標量(下限)は、たんぱく質の目標量の上の値(20%エネルギー)と脂質の目標量の上の
値(30%エネルギー)に対応させた。ただし、この場合には、食物繊維の摂取量が少なくならないよ
うに、炭水化物の質に注意すべきである。
ところで、アメリカ人中年男女(45~64 歳)15,428 人を 25 年間追跡して、炭水化物摂取量と総死
亡率との関連を検討した報告によると、炭水化物摂取量が 50~55%エネルギーであった集団で最も低
い総死亡率と最も長い平均期待余命が観察された 32)。同時に、総死亡率の上昇と平均期待余命の短縮
は炭水化物摂取量が 55~65%エネルギーであった集団ではわずかであった。これは、目標量の範囲を
50~65%エネルギーとすることを間接的に支持する知見であると考えられる。
・妊婦・授乳婦(目標量)
生活習慣病の発症予防の観点から見て、妊婦及び授乳婦が同年齢の非妊娠・非授乳中の女性と異な
る量の炭水化物を摂取すべきとするエビデンスは見いだせない。したがって、目標量は妊娠可能年齢
の非妊娠及び非授乳中の女性と同じとした。
3-1-1-2 エビデンスレベル
炭水化物の目標量は、総エネルギー摂取量(100%エネルギー)のうち、たんぱく質及び脂質が占め
るべき割合を差し引いた値である。よって、エビデンスレベルは D5 とした。

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