よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (63 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

増進、生活習慣病予防の観点からは、エネルギー摂取量が必要量を過不足なく充足するだけでは不十
分であり、望ましい体格(body mass index:BMI)を維持するエネルギー摂取量(=エネルギー消費
量)であることが重要である。そのため、エネルギーの摂取量及び消費量のバランスの維持を示す指
標として BMI を採用している。

図1 エネルギー収支バランスの基本概念
体重とエネルギー収支の関係は、水槽に水が貯まったモデルで理解される。エネルギー摂取量とエネルギー消費量が等しいとき、
体重の変化はなく、体格(BMI)は一定に保たれる。エネルギー摂取量がエネルギー消費量を上回ると体重は増加し、肥満につな
がる。エネルギー消費量がエネルギー摂取量を上回ると体重が減少し、やせにつながる。しかし、長期的には、体重変化によりエ
ネルギー消費量やエネルギー摂取量が変化し、エネルギー収支はゼロとなり、体重が安定する。肥満者もやせの者も体重に変化が
なければ、エネルギー摂取量とエネルギー消費量は等しい。

2 エネルギー摂取量・エネルギー消費量・エネルギー必要量の推定の関係
エネルギー必要量を推定するためには、体重が一定の条件下で、その摂取量を推定する方法とその
消費量を測定する方法の 2 つに大別される。前者には各種の食事アセスメント法があり、後者には、
二重標識水法から直接消費量を測定する方法か、基礎代謝量と身体活動レベル(physical activity level:
PAL)の測定値や性、年齢、身長、体重を用いてエネルギー消費量を推定する方法がある。後述する
ように、食事調査法は、いずれの方法を用いてもエネルギー摂取量に関しては測定誤差が大きく、そ
のために、エネルギー摂取量を測定してもそこからエネルギー必要量を推定するのは極めて困難であ
る。そこで、エネルギー必要量の推定には、エネルギー摂取量ではなく、エネルギー消費量からアプ
ローチする方法が広く用いられている(図2)。特に、二重標識水法は、2 週間程度の(ある程度習
慣的な)エネルギー消費量を直接測定でき、その測定精度も高いため、エネルギー必要量を推定する
ための有用な基本情報が提供される 2)。これに身体活動レベルを考慮すれば、性・年齢階級・身体活
動レベル別にエネルギー必要量を推定できる。しかしながら、後述するように、エネルギー必要量に
は無視できない量の推定困難な個人間差が存在する 3)。そのために、基礎代謝量と身体活動レベル等
を用いる推定式も含めて、個人レベルのエネルギー必要量を推定するのは困難であると考えられてい
る 4)。なお、エネルギー摂取量の測定とエネルギー消費量の測定は、全く異なる測定方法を用いるた
め、それぞれ固有の測定誤差を持つ。したがって、測定されたエネルギー摂取量とエネルギー消費量
を比較する意味は乏しい。
それに対して、エネルギー収支の結果は体重の変化や BMI として現れることを考えると、体重・体
組成の変化や BMI を把握すれば、エネルギー収支の概要を知ることができる。

53