「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (170 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
を設定している 39,41)。そこで、妊婦の目安量を非妊娠時と同じ 9.0 µg/日とした。
・授乳婦(目安量)
母乳中ビタミンD濃度に関しては、測定法により大きく異なる値が報告されていることから、母乳
への分泌量に基づいて設定することは困難である。また、授乳婦の必要量が非妊娠時の同年齢の女性
の必要量と異なるというエビデンスも乏しいため、授乳婦の目安量を非授乳時と同じ 9.0 µg/日とし
た。
3-2 過剰摂取の回避
3-2-1 基本的事項
紫外線による皮膚での産生は調節されており、日光曝露によるビタミンD過剰症は起こらない。ま
た、腎臓における水酸化は厳密に調節されており、高カルシウム血症が起こると、それ以上の活性化
が抑制される。しかしながら、多量のビタミンD摂取を続けると、高カルシウム血症、腎障害、軟組
織の石灰化障害などが起こる。血清 25-ヒドロキシビタミンD濃度が 80~88 ng/mL 以上であると、高
カルシウム血症が引き起こされる可能性はあるが、その濃度は幅広い範囲で変動し、カルシウム摂取
量の影響も受ける 39)。
3-2-2 耐容上限量の設定方法
高カルシウム血症を対象に算定した。
・成人(耐容上限量)
アメリカ・カナダの食事摂取基準に準拠して、不確実性因子を 2.5 とすると、耐容上限量は 100 µg/
日と算出される 41)。1,250 µg/日にて高カルシウム血症を来した症例報告があり 72,73)、これを最低健康
障害発現量とし、不確実性因子を 10 として耐容上限量を算出しても、ほぼ同じ値となる。また、欧
州食品安全機関(EFSA)は 2023 年に耐容上限量の算定根拠を、高カルシウム血症よりも早期の兆候
である持続性高カルシウム尿症に変更し、最低健康障害発現量を 250 µg/日、不確定因子を 2.5 として
健康障害非発現量として 100 µg/日、耐容上限量を 100 µg/日としている 74)。これらのことから、いず
れの方法を用いても 100 µg/日となる。なお、性別及び年齢区分ごとの違いは考慮しなかった。
・高齢者(耐容上限量)
現在までのところ、高齢者における耐容上限量を別に定める根拠がないことから、成人と同じ 100
µg/日とした 41)。
・小児(耐容上限量)
小児に関しては、参考とすべき有用な報告が存在しない。そのため、18~29 歳の値(100 µg/日)と
乳児の値(25 µg/日)の間を、参照体重を用いて体重比から外挿した。計算は男女別に行い、その後、
それぞれの年齢区分について、男女において数値が少ない方の値を採用し、男女同じ値とした。なお、
外挿・丸めの結果、乳児より低値となった場合には、乳児と同値を設定した。
160