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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (43 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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4-2-5 臨床症状・臨床検査値の利用
栄養素摂取量の過不足の指標として、臨床症状及び臨床検査値が利用できる場合がある。
例えば、鉄欠乏性貧血における血中ヘモグロビン濃度などの血液指標や月経のある女性における経
血量、血清 LDL(low-density lipoprotein)コレステロールやアルブミンなども利用可能である。しか
しながら、臨床症状や臨床検査値は、対象とする栄養素の摂取状況以外の影響も受けた結果であるた
め、慎重な解釈と利用が望まれる。
4-2-6 食品成分表の利用
食事調査によってエネルギー及び栄養素の摂取量を推定したり、献立からエネルギー及び栄養素の
給与量を推定したりする際には、食品成分表を用いて栄養計算を行う。現在、我が国の唯一の公的な
食品成分表は、日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)38)であるが、栄養素の定義に関しては、食事摂
取基準と日本食品標準成分表(八訂)とで異なるものがある。そこで、留意を要する栄養素について、
表 15 にその内容を示す。
日本食品標準成分表(八訂)は、日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)39)からの改訂の際に、エネ
ルギー量の計算に関連する大きな変更があった。日本食品標準成分表(七訂)では、基準窒素量に換
算係数をかけてたんぱく質の質量を、食品中の有機溶媒可溶性成分の総質量として脂質の質量を、そ
れぞれ算出していた。炭水化物の質量は、水分、たんぱく質、脂質、灰分等の合計を 100 g から差し
引いて算出していた。そして、これらに Atwater 係数を乗じてエネルギー量を算出していた。日本食
品標準成分表(八訂)では、エネルギー量の計算において、たんぱく質はアミノ酸組成によるたんぱ
く質、脂質は脂肪酸のトリアシルグリセロール当量が使用されることとなった。炭水化物は利用可能
炭水化物・食物繊維・糖アルコール・有機酸のそれぞれの質量が算出され、エネルギー量の計算の際
に使用する係数も細分化された。よって、個々の食品の可食部 100 g 当たりエネルギー量は、食品に
よって日本食品標準成分表の改訂前後で増加したり減少したりしている。1 日当たりの摂取エネルギ
ー量は、日本食品標準成分表(八訂)を使って算出すると、日本食品標準成分表(七訂)を使用した
ときに比べ、40~80 歳代の男性で 5.2%、女性で 5.0%低値であったとする報告 40)がある。このエネル
ギー量の変化はあくまでエネルギー量の計算方法の変化によるものであり、実際にエネルギー摂取量
が変化しているのではない点に注意が必要である。食物繊維に関しても測定法の変更があり、成分値
の大きく変化した食品がある。この点に関しては炭水化物の項に詳述した。日本人の食事摂取基準
(2025 年版)では、現在入手可能な研究結果等が主に日本食品標準成分表(七訂)相当の方法で計算
されたエネルギー量やエネルギー産生栄養素量を使用していることを踏まえ、指標値は日本食品標準
成分表(七訂)に基づき計算されたエネルギー・栄養素摂取量に対応するものとして策定した。
なお、食品成分表の栄養素量と、実際にその摂取量や給与量を推定しようとする食品の中に含まれ
る栄養素量は、必ずしも同じではない。しかし、この誤差の方向やその程度を定量化して示すことは
困難である。そのため、食品成分表を利用する際には、この誤差の存在を十分に理解した上で柔軟な
対応が望まれる。
また、食事摂取基準で示されている数値は摂取時を想定したものである。そのため、調理中に生じ
る栄養素量の変化を考慮して栄養計算を行わなければならない。栄養素の中には調理によって変化す
るものが知られており、水溶性ビタミンや一部のミネラルなど、無視できない変化率を示す場合もあ
る 41–45)。ビタミンCや葉酸などは調理後の残存率が低く(70%未満など)、ゆで調理をしてゆで汁を
廃棄する場合には特に残存率が低かったとする報告がある 46)。日本食品標準成分表には調理後食品の

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