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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (325 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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で十分と考え、推定平均必要量の付加量を 100 µg/日とした。推奨量の付加量は、個人間の変動係数
を 20%と見積もり、推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数 1.4 を乗じて 140 µg/日とした。
3-1-2 目安量の策定方法
・乳児(目安量)
我が国の母乳中ヨウ素濃度に関して、77~3,971 µg/L(n=39、中央値 172 µg/L)とする報告 148)及
び 83~6,960 µg/L(n=33、中央値 207 µg/L)とする報告 149)がある。これら 2 つの報告の中央値の単
純平均(189 µg/L)は、日本人の母乳中ヨウ素濃度の代表値とみなすことができる。しかし、この値
と 0~5 か月児の基準哺乳量(0.78 L/日)5,6)の積である 147 µg/日は、アメリカ・カナダの食事摂取基
準における 0~6 か月児の目安量(110 µg/日)144)を上回っており、高すぎると判断した。そこで、我
が国の 0~5 か月児の目安量は、アメリカ・カナダの食事摂取基準における 0~6 か月児の目安量と我
が国とアメリカの乳児の体格差を考慮して 100 µg/日とした。なお、WHO は、ベルギーで行われた 1
か月児の出納試験 150)に基づき、乳児の必要量を 90 µg/日としている。
6~11 か月児では、母乳(又は乳児用調製乳)に加えて離乳食からのヨウ素摂取が加わる。しかし、
離乳食からのヨウ素摂取量は成人同様に大きく変動しており 151,152)、1 つの値に集約することは困難
である。そこで、6~11 か月児に関しては、0~5 か月児の目安量(100 µg/日)を体重比の 0.75 乗を用
いて外挿し、男女の値の平均値を目安量とした。

3-2 過剰摂取の回避
3-2-1 摂取状況
ヨウ素は、海藻類、特に昆布に高濃度で含まれるため、日本人は世界でも稀な高ヨウ素摂取の集団
である。日本人のヨウ素摂取量は、献立の分析 153)、尿中ヨウ素濃度 154,155)、海藻摂取量 156)の三方向
から検討されてきた。献立の分析及び尿中ヨウ素濃度の測定からは、500 µg/日未満の摂取の中に間欠
的に 3 mg/日以上、場合によっては 10 mg/日程度の高ヨウ素摂取が出現すること、海藻消費量の検討
からは 1.2 mg/日という平均摂取量が推定されている。また、日本人のヨウ素摂取量に関する別の報告
は 1~3 mg/日という値を提示している 157)。以上より、日本人のヨウ素摂取量は、昆布製品等の海藻
類をあまり含まない献立での 500 µg/日未満を基本に、間欠的に摂取する海藻類を含む献立分が加わ
り、平均で 1~3 mg/日だと推定できる。なお、食事調査と食品成分表等を用いて日本人のヨウ素摂取
を検討した報告も、この推定を支持している 143,158)。
食品には、ヨウ素と不可逆的に結合することによって、ヨウ素の吸収や利用を妨げ、結果としてヨ
ウ素不足に起因する甲状腺腫を起こすゴイトロゲンといわれる化学物質を含むものがある。ゴイトロ
ゲンには、アブラナ科植物等に含まれるチオシアネート、豆類に含まれるイソフラボン等がある 135)。
特に大豆製品にはイソフラボンを高濃度に含むものがあるため、大豆製品の多食はヨウ素の体内利用
や生体影響を減じることになる。
3-2-2 耐容上限量の策定方法
・成人・高齢者(耐容上限量)
日常的にヨウ素を過剰摂取すると、甲状腺でのヨウ素の有機化反応が阻害されるが、甲状腺へのヨ
ウ素輸送が低下する“脱出(escape)”現象が起こり、甲状腺ホルモンの生成量は基準範囲に維持さ
れる 159)。しかし、脱出現象が長期にわたれば、甲状腺ホルモンの合成に必要なヨウ素が不足するた

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