「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (370 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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2-4-1 たんぱく質
妊娠期の体たんぱく質蓄積量は、体カリウム増加量より間接的に算定できる。妊娠後期の平均の体
カリウム増加量は 2.08 mmol/日であり 10–13)、これにカリウム・窒素比(2.15 mmol カリウム/g 窒素)
10)
及びたんぱく質換算係数(6.25)を用いて、体たんぱく質蓄積量を次式により算出した。
(体たんぱく質蓄積量)=(体カリウム増加量)/(カリウム・窒素比)×(たんぱく質換算係数)
ここで、体たんぱく質蓄積量は、妊娠中の体重増加量により変化することを考慮に入れる必要があ
る。すなわち、最終的な体重増加量を 11 kg とし 14)、諸家の報告による妊娠中体重増加量に対して補
正を加えて、それぞれの研究における体カリウム増加量を求め 10–13)、体たんぱく質蓄積量を『Ⅱ 各
論、1 エネルギー・栄養素、1-2 たんぱく質 表6』のように算定した。
妊娠各期における体たんぱく質蓄積量の比は、初期:中期:後期=0:1:3.9 であるという報告 13)
を用いて、観察期間が中期・後期である報告については、この期間の総体たんぱく質蓄積量を求め(妊
娠日数 280 日に 2/3 を乗ずる)、単純に上記の比率で中期と後期に割り当てた後、それぞれの期間の
1 日当たりの体たんぱく質蓄積量を算出した。
このようにして各研究から得られた値を単純平均して算出すると、初期:0 g/日、中期:1.94 g/日、
後期:8.16 g/日となる。たんぱく質の蓄積効率を 43%として 10)、
推定平均必要量(新生組織蓄積分)=(体たんぱく質蓄積量)/(たんぱく質の蓄積効率)
とした。
2-4-2 ビタミンA
胎児へのビタミンAの移行蓄積量を付加する必要がある。37~40 週の胎児では、肝臓のビタミンA
蓄積量は 1,800 µg 程度であるので、この時期の体内ビタミンA貯蔵量を肝臓蓄積量の 2 倍として、
3,600 µg のビタミンAが妊娠期間中に胎児に蓄積される 15,16)。母親のビタミンA吸収率を 70%と仮定
し、最後の 3 か月でこの量のほとんどが蓄積される 16)。これらの事実に基づき、初期及び中期におけ
る付加量を 0(ゼロ)とし、後期における推定平均必要量の付加量を設定した。
2-4-3 ビタミンB1、ビタミンB2
妊婦の付加量を要因加算法で算定するデータはないため、エネルギー要求量に応じて増大するとい
う代謝特性から設定した。
2-4-4 ビタミン B6
胎盤や胎児に必要な体たんぱく質の蓄積を考慮して、設定した。
2-4-5 葉酸
妊娠の中期及び後期において、通常の適正な食事摂取下で 100 µg/日の葉酸(folic acid)を補足する
と約 70%の妊婦の赤血球中葉酸濃度を適正量に維持することができたというデータ 17,18)があること
から、この値を採用し、相対生体利用率(50%)19)を考慮して設定した。
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