「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (143 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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生活習慣病の発症予防と同様に、栄養学的な側面からみた炭水化物の最も重要な役割は、重症化予
防においてもエネルギー源としての働きと血糖上昇作用である。なお、食物繊維については後述する。
エネルギー源としての炭水化物摂取(制限)の効果は肥満症患者及び過体重者を対象とした多数の
介入試験で検証されている。結果のばらつきは大きいものの、炭水化物制限食が有する減量効果は、
同じエネルギー量を有する脂質及びたんぱく質制限食と有意に異なるものではないとしたメタ・アナ
リシスが多い 33–35)。これは、炭水化物摂取量の制限によって総エネルギー摂取量を制限すれば減量効
果を期待できるが、炭水化物摂取量の制限によって減少させたエネルギー摂取量を他の栄養素(脂質
又はたんぱく質)で補い、総エネルギー摂取量が変わらない場合には減量効果は期待できないことを
示している。
糖尿病患者又は高血糖者を対象として、炭水化物摂取量を制限したときの血糖値(又は HbA1c 値)
の変化を観察した介入試験は多数存在する。これらの研究をまとめたメタ・アナリシスでは、短期間
(6~12 か月)であれば、炭水化物制限食を摂取した群では対照群(通常食、高炭水化物食、低脂肪
食など)に比べて有意な HbA1c の低下が観察されたが、12~24 か月以降では HbA1c の低下幅は小さ
くなり、観察されても僅か、あるいは観察されなかったと報告されている 36–38)。これは、現実的に実
行可能かつ他の栄養素による健康への不利益が生じない範囲で、糖尿病の管理に求められる十分に長
い期間にわたって行うべき食事療法として、炭水化物摂取量の制限は現時点では勧められないことを
示している。
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