「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (338 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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3-1 欠乏の回避
3-1-1 推定平均必要量、推奨量の策定方法
・成人・高齢者(推定平均必要量、推奨量)
22 µg/日のモリブデン摂取を 102 日間継続した 4 人のアメリカ人男性(平均体重 76.4 kg)において、
モリブデン出納は平衡状態が維持され、かつモリブデン欠乏の症状は全く観察されていない 233,236)。
この 22 µg/日に、汗、皮膚等からの損失量を他のミネラルのデータから 3 µg/日と推測し、これを加え
た 25 µg/日を推定平均必要量の参照値とした。この参照値から、4 人のアメリカ人の平均体重 76.4 kg
と、性別及び年齢区分ごとの参照体重に基づき、性別及び年齢区分ごとの推定平均必要量を体重比
の 0.75 乗を用いて外挿することで算定した。なお、参照値として用いた 25 µg/日は、アメリカ・カナ
ダの食事摂取基準 237)及び WHO240)も採用している。参照値が被験者 4 人の 1 論文に依存したもので
あるので、個人間の変動係数を 15%と見積もり、性別及び年齢区分ごとの推奨量は、推定平均必要量
に推奨量算定係数 1.3 を乗じた値とした。
・小児(推定平均必要量、推奨量)
小児の推定平均必要量の根拠となる信頼性の高いデータはない。そこで、アメリカ・カナダの食事
摂取基準 237)と同様に、小児の性別及び年齢区分ごとの参照体重に基づき体重比の 0.75 乗と成長因子
を用いて成人の参照値より外挿することによって、推定平均必要量を算出した。推奨量は、成人と同
様に推定平均必要量に推奨量算定係数 1.3 を乗じた値とした。
・妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
妊娠中の付加量を推定し得るデータはないため、妊婦への付加量の設定は見合わせた。
・授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
日本人の母乳中モリブデン濃度(3.0 µg/L)222,241)、0~5 か月児の基準哺乳量(0.78 L/日)5,6)、日本
人女性の食事中モリブデンの吸収率(93%)235)を用いて算定される 2.52 µg/日(3.0×0.78÷0.93)を丸
めた 2.5 µg/日を授乳婦の付加量の推定平均必要量とした。推奨量は、推定平均必要量に推奨量算定係
数 1.3 を乗じて得られる 3.27 µg/日を丸めた 3.5 µg/日とした。
3-1-2 目安量の策定方法
・乳児(目安量)
日本人の母乳中モリブデン濃度については、0.8~34.7 µg/L(中央値 2.9 µg/L)という報告 241)と、0.1
未満~25.91 µg/L(中央値 3.18 µg/L)という報告 222)がある。両報告の中央値を平均した 3.0 µg/L を日
本人の母乳中モリブデン濃度の代表値とし、基準哺乳量(0.78 L/日)5,6)を乗じて得られる 2.34 µg/日
を丸めた 2.5 µg/日を 0~5 か月児の目安量とした。
6~11 か月児に関して、0~5 か月児の目安量(2.34 µg/日)を体重比の 0.75 乗を用いて外挿し、男
女の値を平均すると 2.99 µg/日となる。6~11 か月児の目安量はこの値を丸めた 3.0 µg/日とした。
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