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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (131 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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8-4 生活習慣病の重症化予防
脂質異常症を有する者及びそのハイリスク者においては、そのリスクをできるだけ軽減する必要が
ある。上述のように、コレステロール摂取量の変化と血中コレステロールの変化は有意な相関を示す
ことから、望ましい摂取量の上限を決める必要があると考えられる。日本動脈硬化学会による「動脈
硬化性疾患予防ガイドライン 2022 年版」では、冠動脈疾患のリスクに応じて LDL-コレステロールの
管理目標値が定められており、高 LDL-コレステロール血症患者ではコレステロールの摂取を 200 mg/
日未満とすることにより、LDL-コレステロールの低下効果が期待できるとしている 71)。以上より、脂
質異常症の重症化予防を目的とした量としては、コレステロールの摂取量を 200 mg/日未満に留める
ことが望ましい。

〈概要〉
脂質の目標量を設定する主な目的は、飽和脂肪酸の過剰摂取を介して発症する生活習慣病を予
防することにある。このことから、上限は、飽和脂肪酸の目標量の上限を考慮して設定した。
一方、下限は、必須脂肪酸の目安量を下回らないように設定した。
飽和脂肪酸は、高 LDL-コレステロール血症の主な危険因子の 1 つであり、循環器疾患(冠動
脈疾患を含む)の危険因子でもあることから、生活習慣病の発症予防の観点から 3 歳以上で目
標量(上限のみ)を設定した。
n-6 系脂肪酸及び n-3 系脂肪酸は、欠乏症の回避を目的とした必要量を算定するために有用な
研究が十分存在しないため、現在の日本人の摂取量の中央値に基づいて目安量を設定した。
コレステロールは、体内でも合成される。そのために目標量を設定することは難しいが、脂質
異常症及び循環器疾患予防の観点から過剰摂取とならないように算定することが必要である。
一方、脂質異常症の重症化予防の目的からは、200 mg/日未満に留めることが望ましい。
トランス脂肪酸は、飽和脂肪酸と同様に、冠動脈疾患に関与する栄養素である。トランス脂肪
酸は人体にとって不可欠な栄養素ではなく、健康の保持・増進を図る上で積極的な摂取は勧め
られないことから、その摂取量は 1%エネルギー未満に留めることが望ましく、1%エネルギー
未満でもできるだけ低く留めることが望ましい。

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