「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (181 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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フィロキノンとメナキノンについては大量に摂取しても毒性は認められていない。我が国では、メ
ナキノン- 4 が骨粗鬆症治療薬として 45 mg/日の用量で処方されており、これまでに安全性に問題は
ないことが証明されている 133)。この量を超えて服用され、その結果、副作用が発生したという例は
これまで報告がない。以上より、ビタミンKの耐容上限量は設定しなかった。
3-3 生活習慣病の発症予防
ビタミンKの摂取量と骨折 134)や骨密度 135)及び骨質 136)、心血管疾患 137–139)の発症との関連に関す
る観察疫学研究や介入研究はいくつか存在する。しかしながら、いずれの疾患においても研究報告は
十分ではなく、結果も一致していない。また、明確な閾値も観察されているとは言い難い。このよう
に、ビタミンKの十分な摂取がいくつかの生活習慣病の発症予防に寄与する可能性は示唆されるもの
の、目標量を定めることは難しいと判断した。
4 生活習慣病の重症化予防
ビタミンK摂取量が少ないと骨折のリスクが増大する可能性が示唆されている 134)。しかし、栄養
素としてのビタミンK介入による骨折抑制効果については、更に検討を要するものと考えられる。
5 活用に当たっての留意事項
通常の食事において、ビタミンK不足が起きることは稀である。
6 今後の課題
いくつかのビタミンK依存性たんぱく質がビタミンK栄養状態を反映することが明らかにされて
いるものの、ビタミンK摂取量との関係が不明であるため、結論として生体指標が確立されていない。
これは諸外国でも同様の状況であり、ビタミンK依存性たんぱく質の臨床的意義付けも含めて、望ま
しいビタミンK摂取量を検討できるような研究が必要である。また、ビタミンK不足は、種々の疾患
リスクと関連すると報告されており、その中で注目されるのは骨折並びに心血管疾患リスクである。
骨及び血管におけるビタミンK必要量は、肝臓における必要量より多いことが知られている 140,141)。
観察研究においては、ビタミンK不足は心血管疾患リスクであることを示唆するものが少なくないこ
とから、今後この点に関する研究が必要である。また、栄養素としてのビタミンK介入研究も求めら
れる。
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