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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (198 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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3-2 過剰摂取の回避
3-2-1 摂取源となる食品
通常の食品で可食部 100 g 当たりのビタミンB1 含量が 1 mg を超える食品は存在しない。通常の食
品を摂取している人で、過剰摂取による健康障害が発現したという報告は見当たらない。
3-2-2 耐容上限量の策定
古い報告ではあるが、10 g のチアミン塩化物塩酸塩を 2 週間半の間、毎日飲み続けた結果、頭痛、
いらだち、不眠、速脈、衰弱、易刺激性、かゆみが発生したが、摂取を中止すると、2 日間で症状は
消えたことと 12)、チアミン塩化物塩酸塩をアンプルに詰める際に接触皮膚炎を引き起こす者がいたこ
とが報告されている 13)。一方で、チアミン塩化物塩酸塩を数百 mg/日、経口摂取させる治療が行われ
ているが、悪影響の報告はない 14)。以上より、耐容上限量を算定できるデータは十分ではないと判断
し、策定しなかった。

3-3 生活習慣病の発症予防
糖尿病患者では、糖尿病でない者に比べて、血中ビタミンB1 濃度が低い傾向にあることが報告さ
れている 15)。しかし、通常の食品から摂取できる摂取量の範囲におけるビタミンB1 摂取量と糖尿病
の発症や改善又は糖尿病関連指標の変化との関連を示した報告は見当たらない。以上の理由から、目
標量は設定しなかった。

4 生活習慣病の重症化予防
ビタミンB1 は心不全患者を対象とした介入試験に用いられている 16,17)。しかしながら、その摂取
量は食品から摂取できるレベルを超えたものであった。他には特筆すべき研究は見当たらなかった。

5 活用に当たっての留意事項
ビタミンB1 の推定平均必要量は、神経炎や脳組織への障害などの欠乏症(ビタミンB1 欠乏症、脚
気)を回避するための最小摂取量ではない(その値よりも高い)。しかし、習慣的な摂取量が推定平
均必要量を下回る期間が数週間続くと欠乏症発症のリスクが高くなると考えられるため、留意が必要
である。
体内の要求量はエネルギー消費量の増大に伴って増える。したがって、エネルギー必要量が推定エ
ネルギー必要量よりもかなり多い個人及び集団ではビタミンB1 の必要量も多いため、留意が必要で
ある。

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