「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (121 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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生活習慣病の発症予防の観点から見て、妊婦及び授乳婦が同年齢の非妊娠・非授乳中の女性と異な
る量の飽和脂肪酸を摂取すべきとするエビデンスは見いだせない。したがって、目標量は非妊娠・非
授乳中の女性と同じとした。
4-3-1-3 エビデンスレベル
以上のように、成人においてはコホート研究及び介入研究の複数のメタ・アナリシスより目標量を
算定したため、エビデンスレベルを D1 とした。
4-4 重症化予防
発症予防と同様に重症化予防についても、飽和脂肪酸摂取量の制限が有効であることがメタ・アナ
リシスによって示されている 21)。ところが、心筋梗塞の既往者に限定し、その後の総死亡率等への脂
質(脂肪酸)摂取量が与える影響を検討した研究をまとめたメタ・アナリシスでは、飽和脂肪酸を多
価不飽和脂肪酸に変える食事改善は、総死亡率、循環器疾患死亡率、循環器疾患発症率、心筋梗塞発
症率のいずれとも有意な関連を示さなかったとしている 22)。
一方、飽和脂肪酸摂取量の制限が血中総コレステロール濃度及び LDL-コレステロール濃度を下げ
ることは健康な者のみならず、既に脂質異常症を有する患者でも観察されている 23)。また、2 年以上
の介入試験のメタ・アナリシスにおいても、飽和脂肪酸摂取量の制限が血中総コレステロール濃度及
び LDL-コレステロール濃度を下げることが示されている 16)。したがって、脂質異常症、特に高 LDLコレステロール血症の患者については、発症予防の観点からのみならず、重症化予防の目的からも、
飽和脂肪酸摂取量の低減が求められる。
5 n-6 系脂肪酸
5-1 基本的事項
n-6 系脂肪酸には、リノール酸(18:2n-6)、γ-リノレン酸(18:3n-6)、アラキドン酸(20:4n6)等があり、γ-リノレン酸やアラキドン酸はリノール酸の代謝産物である。生体内では、リノール
酸をアセチル CoA から合成することができないので、経口摂取する必要がある。日本人で摂取され
る n-6 系脂肪酸の 98%はリノール酸である。γ-リノレン酸やアラキドン酸の単独摂取による人体へ
の影響について調べた研究は少ない。
5-2 摂取状況
平成 30・令和元年国民健康・栄養調査における n-6 系脂肪酸摂取量の中央値は表4のとおりである。
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