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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (368 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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2-3 妊娠期の適正体重増加量
母体の妊娠中の体重増加量及び妊娠前の肥満度と児の出生時体重や妊娠合併症などとの関連は、次
に述べるように、数多くの研究で報告され、それらの結果に基づき、いくつかのガイドラインが定め
られている。
妊娠中の体重増加の推奨値に関するガイドラインと最近の我が国における研究結果を表2にまと
めた。我が国で最近行われた周産期レジストリデータを用いた観察研究(対象者 419,114 人)におい
て、母子双方の健康障害リスクは、妊娠前の体格(body mass index:BMI)(kg/m2)が 18.5 未満(低
体重(やせ))、18.5~24.9(普通体重)、25~29.9(肥満 1 度)の者では、体重増加量がそれぞれ 13.0
~13.9 kg、11.0~11.9 kg、8.0~8.9 kg で最も低くなり、妊娠前の BMI が 30 以上(肥満 2 度以上)の
者では、体重増加量が 5 kg でプラトーに達することが示されている 2)。日本産科婦人科学会では、低
体重(やせ)、普通体重、肥満(1 度)、肥満(2 度以上)の妊娠中の体重増加量の目安を、前述の研
究 2)で観察された最もリスクが低くなる体重増加量の範囲に、上下 1 kg を加味して、12~15 kg、10~
13 kg、7~10 kg、個別対応(上限 5 kg までが目安)としている 3)。ただし、この推奨範囲は、増加量
を厳格に一律に指導する根拠は必ずしも十分ではないと認識した上で、個人差を考慮したゆるやかな
指導を心がけることを前提としている 3)。またこの推奨を踏まえて、「妊娠前からはじめる妊産婦の
ための食生活指針(2021 年)」でも、同じ体重増加量の幅が目安として示されている 4)。
米国医学研究所(IOM)は、2009 年に妊娠前の肥満度別に適正体重増加量を示しており、妊娠前の
BMI が 18.5 未満、18.5~24.9、25.0~29.9、30.0 以上に対して、それぞれ 12.7~18.1 kg、11.3~15.9 kg、
6.8~11.3 kg、5.0~9.1 kg としている 5)。この範囲から逸脱していた妊婦は出産に関する母子双方の健
康障害が多かったことが、合計 131 万人を対象とした欧米の 23 の研究をまとめたメタ・アナリシス
で報告されている 6)。この結果は、東アジアで行われた 8 研究を含む 23 の研究をまとめたメタ・アナ
リシスによっても、支持されている 7)。一方、合計約 20 万人を対象とした欧米の 25 の研究のプール
データを用いたメタ・アナリシスより、妊娠前の BMI が 18.5 未満、18.5~24.9、25.0~29.9、30.0~
34.9 に対して、母子双方の健康障害のリスクが最も低い体重増加量の範囲を推定すると、それぞれ
14.0~16.0 kg、10.0~18.0 kg、2.0~16.0 kg、2.0~6.0 kg であることが報告されている 8)。これらの学
術的知見の蓄積状況も踏まえて、妊娠中の適正体重増加量の設定について世界保健機関(WHO)へ助
言を行う技術諮問グループが 2023 年に設立されて議論が進められており、国際的にも適切な体重増
加量に関する検討が続いている 9)。

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