「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (118 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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・成人・高齢者・小児(目標量)
脂質の目標量の算定に先立ち、後述するように、飽和脂肪酸の目標量を算定した。
脂質の目標量は、日本人の代表的な脂質(脂肪酸)摂取量(脂肪酸摂取比率)を考慮し、飽和脂肪
酸の目標量の上限を超えないように上限を算定する必要がある。同時に、脂質は必須脂肪酸を含んで
いるため、日本人の代表的な脂質(脂肪酸)摂取量(脂肪酸摂取比率)を考慮し、必須脂肪酸の目安
量を下回らないように下限を算定する必要もある。
目標量の上限は、日本人の脂質及び飽和脂肪酸摂取量の特徴に基づき、後述する飽和脂肪酸の目標
量の上限、7%エネルギーを超えないと期待される脂質摂取量の上限として 30%エネルギーとした。
目標量の下限は、次のように算定した。日本人の n-6 系脂肪酸、n-3 系脂肪酸摂取量の中央値(目安
量)が、それぞれ 4~5%エネルギー、約 1%エネルギー、一価不飽和脂肪酸摂取量の中央値が少なく
とも 6%エネルギーであり、脂肪酸合計では 18~19%エネルギーとなる。さらに、トリアシルグリセ
ロールやリン脂質には脂肪酸の他にグリセロールの部分があり、脂質全体の約 10%を占める。グリセ
ロール部分を考慮した場合、脂肪エネルギー比率は、20(=18÷0.9)~21%エネルギー(≒19÷0.9)
となり、これを丸め処理を行って 20%エネルギーとした。
・妊婦・授乳婦(目標量)
生活習慣病の発症予防の観点から見て、妊婦及び授乳婦が同年齢の非妊娠・非授乳中の女性と異な
る量の総脂質を摂取すべきとするエビデンスは見いだせない。したがって、目標量は非妊娠・非授乳
中の女性と同じとした。
3-3-2-2 エビデンスレベル
以上のように、日本人の代表的な脂質(脂肪酸)摂取量(脂肪酸摂取比率)を考慮した策定方法の
ため、脂質の目標量に対するエビデンスレベルは D3 とした。
4 飽和脂肪酸
4-1 基本的事項
飽和脂肪酸は、体内合成が可能であり、必須栄養素ではない。その一方、後述するように、高 LDLコレステロール血症の主な危険因子の 1 つであり、心筋梗塞を始めとする循環器疾患の危険因子でも
ある。また、重要なエネルギー源の 1 つであるために肥満の危険因子でもあることから、目標量を算
定すべき栄養素である。
4-2 摂取状況
平成 30・令和元年国民健康・栄養調査において、成人(18 歳以上)における飽和脂肪酸摂取量の中
央値は表2のとおりである。また、幼児・小児における飽和脂肪酸摂取量を調べた最近の 2 つの全国
調査によると、性・年齢区分別にみた摂取量の中央値は表3のとおりであった 8)。
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