「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (214 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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は顕著に減少する。また、胆汁中には多量のビタミンB12 化合物が排泄されるが(平均排泄量 2.5 µg/
日)、約 45%は内因子と結合できない未同定のビタミンB12 類縁化合物である 60)。胆汁中に排泄され
る真のビタミンB12 の半数は腸肝循環により再吸収され、残りは糞便へ排泄される。
なお、健康な成人の平均的なビタミンB12 貯蔵量は 2~3 mg である 64,65)。そして、1 日当たり体内
ビタミンB12 貯蔵量の 0.1 から 0.2%が損失する 66–68)。
また、食品中には、ヒトがビタミンB12 として利用できないシュードビタミンB1261,69,70)が存在する。
2 指標設定の基本的な考え方
ビタミンB12 の栄養状態を反映する生化学的指標として血清ホロトランスコバラミン濃度、血清メ
チルマロン酸濃度、血清ホモシステイン濃度が利用できる 71–74)。ビタミンB12 輸送たんぱく質トラン
スコバラミンにビタミンB12 が結合したホロトランスコバラミンの血清濃度は、分配されているビタ
ミンB12 量を反映する。ビタミンB12 の栄養状態が低下すると、ビタミンB12 を必要とするメチルマ
ロニル CoA ムターゼ及びメチオニンシンターゼの活性が低下し、血清メチルマロン酸濃度、血清ホ
モシステイン濃度が上昇する。これらの生化学的指標を適正に維持できるビタミンB12 摂取量が報告
されている 71)。しかし、それがビタミンB12 の欠乏症の回避に必要な最小摂取量を算定するために利
用可能であるとの結論はまだ得られていない 75)。このため、推定平均必要量を設定せず、適正なビタ
ミンB12 の栄養状態を維持できる摂取量として目安量を設定した。
3 健康の保持・増進
3-1 欠乏の回避
3-1-1 目安量の策定方法
・成人(目安量)
健康な成人を対象として、ビタミンB12 摂取量と血清ホロトランスコバラミン濃度、血清メチルマ
ロン酸濃度、血清ホモシステイン濃度との関係を調べた観察研究が報告されている 71)。いずれの生化
学的指標も良好な値を示したのは、平均摂取量 4.2 µg/日(摂取範囲 3.4~5.3 µg/日)以上の集団であ
った。また、日本人成人(18~64 歳)の摂取量は、平成 30・令和元年国民健康・栄養調査の結果の中
央値によると 2.9~6.0 µg/日である。そこで、4.0 µg/日を目安量とした。血清ビタミンB12 濃度は男性
に比べて女性で高いことが報告 76–78)されているが、その詳細は明確になっていないこともあり、男女
差を考慮しなかった。
・高齢者(目安量)
高齢者には萎縮性胃炎などで胃酸分泌の低い人が多く 79)、食品中に含まれるたんぱく質と結合した
ビタミンB12 の吸収率が減少している 80)。しかし、高齢者のビタミンB12 の吸収率に関するデータが
ないことから、高齢者でも目安量は成人(18~64 歳)と同じ値とした。
・乳児(目安量)
日本人の母乳中のビタミンB12 濃度として、0.45 µg/L を採用した 8,9,81)。
0~5 か月の乳児の目安量は、母乳中の濃度(0.45 µg /L)に基準哺乳量(0.78 L/日)10,11)を乗じると
0.35 µg/日となるため、丸め処理をして、0.4 µg/日とした。
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