「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (340 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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慢性腎臓病の小児 246)や人工透析を受けている患者 247)において、血清モリブデン濃度が上昇してい
るという報告がある。モリブデンの主排泄経路が尿であること、モリブデンがリン酸と高い親和性を
有すること、腎機能が低下するとしばしば血清リン濃度が上昇することを考慮すると、この血清モリ
ブデン濃度の上昇は血清リン濃度の上昇に伴う二次的なものである可能性が高く、慢性腎臓病の発症
や重症化とは無関係だと考えられる。その他の生活習慣病の重症化とモリブデンの直接的な関連を示
す報告はない。したがって、生活習慣病重症化予防のための量(上限値)も設定しなかった。
5 活用に当たっての留意事項
通常の日本人の食生活であれば、推奨量の 10 倍近いモリブデン摂取量になる。したがって、事実
上、献立の作成においてモリブデンの摂取に留意する必要はない。
6 今後の課題
EFSA はモリブデンの平衡維持量 22 µg/日に関して、少数例の出納試験から得られた結果であるこ
とを理由に信頼性が低いと判断し、モリブデンの栄養参照値(Nutritive Reference Value)として、ヨー
ロッパの平均的な献立からのモリブデン摂取量に基づいて目安量を設定している 248)。我が国の食事
摂取基準においても、モリブデンに関して目安量に切り替えるかどうかの議論が必要である。さらに、
モリブデン摂取量と生活習慣病との関連について情報の蓄積が必要である。
〈概要〉
微量ミネラルの必要量の算定に有用な日本人のデータは少ない。このため、マンガンを除き、
欧米諸国で得られたデータを基に推定平均必要量及び推奨量を設定した。
女性の鉄の必要量は月経の有無及び月経に伴う血液損失量に大きな影響を受けるため、貧血の
有無等を個別に把握した上で、食事摂取基準は柔軟に用いることが勧められる。
マンガンについては、マンガンの必要量を大幅に上回ると推定される日本人の摂取量に基づき、
目安量を設定した。
微量ミネラルの摂取と生活習慣病の発症予防及び重症化予防に関しては、十分な科学的根拠が
なく、目標量及び重症化予防を目的とした量は設定しなかった。
微量ミネラルについては、通常の食生活で過剰摂取が生じる可能性はないが、極端な偏食やサ
プリメント等の不適切な利用に伴って過剰摂取が生じる可能性は否定できない。
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