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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (105 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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の発症予防を目的とした望ましいたんぱく質摂取量を策定することは難しいものの、少なくとも高齢
者においては、推奨量の値よりも多めに摂取する方が(1.2 g/kg 体重/日以上)、フレイル及びサルコ
ペニア発症を予防できる可能性があると考えられる。
なお、若年成人を対象にエネルギー摂取量を増やした上で、たんぱく質摂取量の違いが除脂肪量の
変動に及ぼす影響を検討した無作為化比較試験においても、0.68 g/kg 体重/日のたんぱく質を含む食
事を摂取している群は除脂肪量が減少した一方で、1.8 g/kg 体重/日のたんぱく質を含む食事を摂取し
ている群は除脂肪量が増加したことを報告しており 65)、若年成人においても筋量を維持するためには
推奨量以上のたんぱく質を摂取することが望ましいと考えられる。しかしながら、通常の食事の摂取
範囲を逸脱した研究デザインや、付加したたんぱく質量は明らかなものの、通常の食事を含めたたん
ぱく質の総摂取量が明らかでない介入研究が多く見受けられたことから、それらを食事摂取基準の策
定根拠として用いることが困難だった。今後、通常の食事からのたんぱく質摂取量がフレイルやサル
コペニアの罹患率に与える影響を明らかにする介入研究の実施が課題である。
このほか、多量のたんぱく質摂取が 2 型糖尿病の発症リスクとなる可能性がアンブレラレビューに
て報告されているものの、2 型糖尿病の発症リスクとなり得るたんぱく質摂取量についての結論は得
られていない 66,67)。また、たんぱく質摂取量と血圧の関連についてのレビューでは、各報告の結果が
一貫しておらず、十分な結論を出すことは難しいとしている 68)。さらに、たんぱく質摂取量と骨密度
の関連についてのレビューにおいても、研究の結果は一貫しておらず、十分な結論を出すことは難し
いことが報告されている 69)。
3-3-2 目標量の策定方法
・成人・高齢者・小児(目標量)
推奨量と目標量のそれぞれの定義から考えて、そのいずれか一方を満たすのではなく、推奨量を満
たした上で、主な生活習慣病やフレイルの発症予防を目的とする目標量を満たさなければならない。
1 歳から 64 歳の年齢区分(非妊婦及び非授乳婦)において、性・年齢区分・身体活動レベル「低い」
の推定エネルギー必要量(kcal/日)を用いてたんぱく質の推奨量(g/日)を%エネルギーで表現する
と、18~29 歳女性及び 50~64 歳女性の値は、11.8%エネルギーと最も高い値となる。65 歳以上の男
女については、その性・年齢区分・身体活動レベル「低い」の推定エネルギー必要量(kcal/日)を用
いてたんぱく質の推奨量(g/日)を%エネルギーで表現すると、11.4~13.8%エネルギーとなる。ただ
し、高齢者においては特にフレイル及びサルコペニアの発症予防も考慮した値であることが望まれる。
65 歳以上の男女について、その性・年齢区分・身体活動レベル「低い」の推定エネルギー必要量(kcal/
日)を用いて、フレイル及びサルコペニアの発症を予防する可能性があるたんぱく質量(1.2 g/kg 体
重/日)を%エネルギーで表現すると、14.9~16.6%エネルギーとなる。
以上より、目標量(下限)は、1 歳から 49 歳(男女共通、非妊婦及び非授乳婦)では、13%エネル
ギー、65 歳以上(男女共通)で 15%エネルギーとした。なお、50~64 歳(男女共通、非妊婦及び非
授乳婦)では、1 歳から 49 歳までと 65 歳以上の値の間をとり、14%エネルギーとした。
目標量(上限)は、耐容上限量を考慮すべきである。たんぱく質には耐容上限量は設定されていな
いが、20~23%エネルギー前後のたんぱく質摂取については、成人においては各種代謝変化に、高齢
者においては腎機能に好ましくない影響を及ぼす可能性が考えられることから、検証すべき課題とし
て残されていることがシステマティック・レビューにより結論づけられている 68)。以上より、十分な
科学的根拠はまだ得られていないものの、目標量(上限)は 1 歳以上の全年齢区分において 20%エネ

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