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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (70 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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状況を考慮し、柔軟に考えられるべきであるが、体重減少を試みた介入試験のメタ・アナリシスによ
ると、介入期間の平均値はおよそ 4 か月間であった 43)。また、運動により体重減少を試みた介入試験
のメタ・アナリシスでも、4 か月間以下では、運動量に応じた体重減少が得られるが、6 か月以上で
は減量が頭打ちになる現象が観察されている 44)。どの程度の期間ごとに体重測定を行って減量計画を
修正していくかを決めるに当たり、以上のことも参考になるかもしれない。

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0

-0.5

-100÷7≒-14g
-1

← 体重減少量

-1.5

-2

-2.0 kg

-2.5

-3

-3.5

-4

-4.5

-5.21kg

-5

-100×365=-36,500 kcal

-5.5

図5 エネルギー摂取量を減少させたときの体重の変化(理論計算結果)
体重が 76.6 kg、エネルギー消費量=エネルギー摂取量=2,662 kcal/日の個人がいたとする(これは上記の論文の対象者の平均体重
及び平均エネルギー消費量である 40))。この個人が 100 kcal/日のエネルギー摂取量を減らしたとすると、次のような変化が期待さ
れる。
エネルギー摂取量の変化率(減少)率=100/2,662≒3.76%
体重変化(減少)率=3.76×0.712≒2.67%
体重変化(減少)量=76.6×(2.63/100)≒2.01 kg …この点は settling point と呼ばれる。
脂肪細胞 1 g がおよそ 7 kcal を有すると仮定すれば、単純には、100 kcal/日のエネルギー摂取量の減少は 14.3 g/日の体重減少、つ
まり、5.21 kg/年の体重減少が期待できる。しかし、体重の変化(減少)に呼応してエネルギー消費量が減少するため、時間経過
に対する体重の減少率は徐々に緩徐になり、やがてある時点(settling point)において体重は減少しなくなり、そのまま維持され
る。実際には、体重の変化(減少)に伴い、食事制限も緩んでいく 39,40)ため、図8よりも体重減少の曲線はより急激に緩徐となる。
当初は、100 kcal/日以上のエネルギー摂取量の制限で開始しても、最終的に 100 kcal/日の制限まで増加して、2 kg の減量が達成、
維持されることになる。

3-4 特別の配慮を必要とする集団
高齢者、乳児・小児、妊婦などにおいては、それぞれ特有の配慮が必要となる。また、若年女性は
やせの者の割合が高く、令和元年国民健康・栄養調査では 18~29 歳の女性で 19.0%となっている。若
年女性のやせ対策として、より早い年齢からの栄養状況の精査と対応が必要である。
3-4-1 高齢者
高齢者においては、基礎代謝量、身体活動レベルの低下により、エネルギー必要量が減少する。同
じ BMI(体重)を維持する場合でも、身体活動レベルが低いとエネルギー摂取量は更に少なくなり、
たんぱく質や他の栄養素の充足がより難しくなる 45,46)。身体活動量を増加させ、高いエネルギー消費
量と摂取量のバランスにより望ましい BMI を維持することが重要である。身体活動量の低下は、フ
レイルの表現型であり 47)、原因でもある。
なお、高齢者においては、BMI の評価に当たり、脊柱や関節の変形による身長短縮 48)が影響するこ
とも考慮が必要である。体組成評価の必要性も指摘される 49–51)が、近年では筋力などを重視する考え
方 52)もあり、現場で評価可能な指標について更に検討が必要である。

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