よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (436 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

る 12)。一方、飽和脂肪酸を減らすことで、トリグリセライドには有意な変化は認められないという報
告が多い 10,13–19)。また、果糖などの糖類を始め、糖質の過剰摂取は、血清トリグリセライドの上昇を
もたらすことが懸念されている 1)。
2-3-2 多価不飽和脂肪酸、n-6 系脂肪酸、n-3 系脂肪酸
飽和脂肪酸の多価不飽和脂肪酸への置き換えでは、血清トリグリセライドに影響を与えない 63)。炭
水化物の n-6 系脂肪酸への置き換えは、飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸と同様に血清トリグリセライ
ドを低下させる 11,12)。
魚類由来長鎖 n-3 系脂肪酸をサプリメントとして負荷して血清脂質の変化を観察した 47 の介入試
験をまとめたメタ・アナリシスでは、血清トリグリセライドの有意な減少が示されている 26)。この研
究における摂取量の平均値は 3.25 g/日と、通常の食品からの摂取量としてはかなり多いものの、血清
トリグリセライドの低下は平均 30 mg/dL であった。健康な者及び脂質異常者における無作為化比較
試験のメタ・アナリシスでは、魚油の摂取量の増加によりトリグリセライドの低下がしめされ 26–30)、
またある無作為化比較試験では食後トリグリセライド上昇に対する抑制効果が得られている 31)。
このように、n-3 系脂肪酸の摂取を増やすことは、トリグリセライド低下に有効である。
2-3-3 その他
図1には特に重要なものを示したが、その他に栄養素摂取との関連で記述しておいた方がよいもの
を、以下に整理した。
・食物繊維
67 の介入試験をまとめたメタ・アナリシスは、水溶性食物繊維摂取量は血清トリグリセライドとは
有意な関連を示さなかったと報告している 77)。他のメタ・アナリシスでも関連は認められていない
87,88)。

・アルコール
アルコールが血清トリグリセライドに及ぼす影響は一定した結論が得られていない。韓国では、ア
ルコール摂取量との間に正の相関を認める報告があるが 89,90)、白人女性では有意な関連は認められて
いなかった 91)。また、中国及び香港における観察研究でも、アルコール摂取(10 g エタノール/日)と
血清トリグリセライドとの間に有意な関連はみられなかった 92)。白人を対象にした研究のメタ・アナ
リシスでは、アルコール摂取量は血清 HDL-コレステロールと血清トリグリセライドを上昇させるこ
とが示されているが 93)、63 の介入試験をまとめたメタ・アナリシスでは、両者の間に有意な関連は認
められていない 80)。
一方、10~20 g エタノール/日摂取群がそれ未満又はそれ以上の摂取群よりも血清トリグリセライ
ドが低いというU字型(若しくはJ字型)が示されている 94)。9,584 人を対象とした研究においても、
アルコール摂取量と食後トリグリセライドの関係はJ字型を示すことが、女性において観察されてい
る 95)。
低 HDL-コレステロール血症の項で述べたとおり、多量飲酒は心筋梗塞や脳卒中など循環器疾患の
危険因子であること、少量摂取による心筋梗塞や脳梗塞への予防効果も否定的であること、脳出血の
増加やがん発症などの健康障害リスクを考慮すると、アルコールの摂取は疾病予防を目的とする従来
の方針に準じて 25 g/日以下、又はできるだけ減らすことが望ましい 1,96)。

426